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矢野義昭氏対談…ウ戦争は停戦へ、イスラエルはエスカレート、米は中ロ朝に勝てない、危ないのは日本

 もはや軍事力で圧倒的に優勢なロシアに対しウクライナが敗戦することは確定、国際社会はどう停戦に持ち込むかで動いているなか、希望的観測抜きのリアリストの軍事専門家である矢野義昭氏に、最近の世界の軍事情勢を語っていただきました。

ウクライナ軍はほぼ壊滅状態だし、ゼレンスキーは軍だけでなく国民からの信も失いつつあるし、西側による経済制裁も米ドル基軸通貨を弱体化させる一方で、かえってロシアを強くしているだけ。

 プーチンは米欧に何度も平和体制の構築を持ちかけてきましたが、それを蹴り続けてウ戦争を仕掛けた米ネオコン、その意を体してきたヌーランドが辞任したように、バイデンも大統領選を見据えて停戦(休戦)へと舵を切り替えている?

ウクライナの分割のどこでラインを引くかで、選択肢が論じられているようです。

逆に、イスラエル・ハマス戦争は終わりが見えない。イスラエルの目的はイランの核化の阻止、イランを挑発して米国を巻き込む大戦争をする…?これにどこまでイランが耐えられるかがカギのようです。トランプが再選されればウ戦争はすぐに終結、そしてイスラエルをいかに終戦に向けて追い込んでいくか、トランプならやるでしょう。

ただ、極東でやはり危ないのは、台湾よりも尖閣のようです。これを日本が死守する措置を今からとらないと、尖閣占領→沖縄への工作→台湾対策も容易化し、西太平洋は中国の海に…。米軍はもはや、ここに入れないようで、サイバーやミサイルのような遠隔操作で対応するしかない。地上戦などあり得ない。

 それにとどまらず、ウ戦争でNATOがプーチンを追い詰めたことで、もはや軍事を決めるのは戦術核になってしまいましたが、その観点からは、米、中、ロのバランスは対等になっているようです。日本への「核の傘」は「ボロ傘」だそうで…。米軍そのものが弱体化しており、中国ともロシアとも戦えない、中ロが組んだら米国は敗ける…

 もはや米国に頼れない日本は、真剣に核保有をどうするかの議論が避けて通れないというのが、国際情勢を知る軍事専門家としての冷厳なる事実認識。日本は、中国による核恫喝だけには敗けてほしくない…

矢野氏が日本国民に鳴らす切実なる警鐘を、ぜひ、お聴きとりいだたければと思います。

 

◆『矢野義昭氏に訊く!最新国際情勢分析 ープーチン圧倒的再選でどうなる!?ウクライナ情勢、ガザの今後の展開ほかー』

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●否定しようもないウクライナ側の劣勢、ロシアが圧倒

昨年11月末からウ側でもザルジニー総司令官が、無理な攻勢で犠牲を増やすのではなく、合理的な戦い方をと。ゼレンスキー大統領も今年に入ってから、さすがにこれからは防衛戦だと述べている。ロシア側が全正面で攻勢に出ている。兵力格差が大きい。

都市部を中心とした抵抗陣地、アウディーイウカもついに陥落。都市部の要塞ラインが崩れると歯止めがない。この防御ラインが破られた。

ウは戦力が枯渇。ゼレンスキーは初めてウの戦死者数3.1万人と公表したが、桁が違う。米国のもと軍人、マクレガー氏は、衛星画像からみた損害の状況、病院、従軍から帰った兵隊、ウの情報ソースなど、これは米軍では把握しているはずだが、これらに基づいて、ウ側は少なくとも30~40万人の死者、70~80万人の死傷者としている。110万が総兵力だったから、軍が壊滅したに等しい。

平均年齢は43歳で老年兵が多く、少年兵も。女性の徴兵も。6万人が徴兵。国外に出ているウ男性も徴兵対象、応じないと懲罰という法案も検討、昨年末の50万人の追加動員が話題に。それぐらい枯渇。NATO諸国からの義勇兵も大半が祖国に帰国。ロシア兵の顔も見ないうちに爆弾で大量の死傷者。これは戦場の様相が違うと逃げ出した。ある地域からの応援2万人は戦死率1割。これで引いている。

武器も緊急増産が追い付かない。ロシアは2014年からウとの戦争ありうべしで、国を挙げて戦争準備。戦争体制を強化、最新型兵器も開発。砲弾の備蓄はNATOの3倍。年間300万発生産可能へと増強されている。NATO側は100万発に上げようとして、やっと120万発に。ロシアとの格差は拡大。

ゼレンスキー大統領へのウ国内での支持については、軍で退任させられた総司令官の支持率は8割超に対し、ゼレンスキーは5割。大統領選では勝てない。バフムト攻防でロシアが圧倒的だったので、本来なら後方に下がって、損害を防ぎながら防御というのが定石なのに、死守を命じた。多くのNATO部隊がバフムトで損害。硬直した戦争のやり方で、ゼレンスキーは国民からも信頼を喪失。

ロシアへの経済制裁が効いていない。経済的影響はない。軍事産業は7割の生産増、さらに倍増。石油穀物価格が制裁で上がり、ロシアを潤し、決済ではスウィフトから追い出されたが、逆効果で、ルーブル建て、元建て、インドとはルピー建てや現物での決済に。

制裁に同調していない勢力、ロシアの安い原油や天然ガスに依存している国も多い。中ロ貿易も増えている。ロシアの決済通貨の7割がドルだったが、今は17%に。ドル基軸通貨は崩れている。欧米の指導者は間違った判断をしたとプーチンは言っている。少なくとも世界のブロック化。そして、ロシア、インド、中国は金をため込んでいる。

 

●ウクライナ戦争が起きた経緯は…米ネオコン、グローバリズム勢力

タッカー・カールソンのインタビューでプーチンが述べていた通り、戦争回避のための欧米とのプーチンからの協調の提案は西側から拒否され続けてきた。戦争をやめさせないのは米ネオコン勢力。ヌーランドが退任。マイダン・クーデターで現地の米大使にウ首脳の人事を指示したり、直接乗り込んだりと、証拠が残っている人物。

ネオコンはもともと、ブレジンスキーやオルブライトの系統。NATOは東方拡大でロシアとの約束を破ったが、これやったのがブレジンスキー。その提言でハンガリー、チェコ、ポーランドがNATOに入った。

エリツィン時代にはロシアの資源利権を買いあさったが、ネオコングルーブに乗じて国際金融資本が利権あさりをした。それを取り戻したのがプーチン。このプーチンを打倒して、として始めたのがウ戦争。だから2014年にクーデター起こして、当時の親ロ派のヤヌコビッチ大統領を追い出した。

その後は。親西欧派が裏で極右武装勢力と結びついて、今はロシアが占領した東部でロシア系住民を虐殺した。プーチンも、ウをNATO準加盟国にするというブッシュ提案までは我慢していたが、クーデターを引き金にクリミア併合に。

まず動いたのはNATO側の準加盟の決議だった。グルジアでもクーデター騒ぎで親ロ派が追い出された。旧ソ連圏の衛星国をCIAを使って次々と取り込んだ。それがプーチンの逆鱗に触れて、安全保障上の脅威だと。それでウ侵攻に。背景にネオコン、ヌーランド、その夫のケーガン、トロツキスト…イデオロギーの背景。グローバリズムとロシアの対決。

 

●米国もウクライナも停戦(休戦)に向けて動き出した

ミンスク合意の再生版が停戦として考えられる。ミンスク合意はプーチンは守るつもりだった。西側はロシアと対抗できないので時間稼ぎでの合意だったとメルケルもマクロンも認めていて、幻想に終わった。

休戦ラインを引いて一時停戦し、国連の第三者機関、停戦監視をして両国を引き離す。そういうラインをどこかで。東部ドンバス4州でとめるか、キエフまで行くか、ドニエプル川の東西で分けるか。西部ウが半分取られるか、ウ全土をロシアが取るか、いくつかの案がある。ウ全土だと、ロシアには戦力的にリスク。

キエフ公国ののちにボーランドに服属した西側は西欧化が進んでいる。文化的に異質。選挙しても、東部以外は親西欧派、言語的に一致。もう一つ、ハリコフからオデッサまで取ると、ロシア言語圏と一致。それは占領地域の現実としてウ側も飲まざるを得ない。

歩兵が止まったところが実質的な戦後の国境になる。戦力格差が10倍以上なので時間とともにロシアの占領地域が増える。NATOも12月から支援が減り、3分の1以下に。戦闘機は何年も訓練が必要。それは戦車もそうだ。

NATOは見切りをつけた。ヌーランドの退任はバイデン政権がウに見切りつけたことを示すのではないか。その後任が始末をつけるタイプの人。ウでも国防大臣は対ロ交渉の専門家。そうした体制からは、ウ戦争の幕引きが見えている。

米ではイスラエルロビーが強いので、ウに渡す装備も資金もイスラエルにつぎ込んでいる。それを米国はやめられない。どっちを採るかと言われればイスラエルだろう。

 

●戦争をやめないイスラエル、対イランでエスカレーションへの道

ガザ地区については、行動陣地が数百キロに及び、ハマスをどれだけ掃討できたか疑問。2割ぐらいとしているが、そう簡単にはできない。戦いはガザ地区で長期化する。休戦交渉も互いに時間稼ぎ。イスラエルとしては、休戦中にガザの様子をみて、どこにトンネルあるかなどを解明し、より効率的に戦おうとする駆け引き。

イスラエルは予備役、民間の働き手なので、このまま続けているだけでは経済が破綻する。消費が3分の1減り、投資も国内経済が一息つかないとやっていけない。イスラエル側にも休戦の事情。体制の立て直しも必要。ただ、戦争をやめるのではない。しかし、ハマス壊滅は簡単ではない。

ラファには百数十万の難民、空爆からいよいよ地上侵攻へ。ネタニヤフはまた戦争開始と言っている。イスラエル国内でも戦争自体への支持は8割以上、ネタニヤフへの支持は改選前も2割に過ぎなかった。今は戦争に乗って、選挙を延期しても戦争を継続。閣内には強硬派もいる。12月までは続く、国民の支持もあり、世界から批判されてもやめない。

ヒズボラ、フーシ派、イランといったシーア派勢力もいる。レバノン国境の闘いもある。ヒズボラなどは、ガザで戦闘激化すればエスカレーションすると言っている。ロケットミサイルも打ち込んでいる。いつ北部戦線が激化するかわからない。ガザの市街地から引き揚げた部隊が転用。南部のラファ周辺に焦点を当てている。

ヒズボラが激化した時にイランがどこまで我慢できるか。イスラエルの最終目的はイランだ。イランの核化を今しかとめられないと考えている。イスラエルはかつて、原子炉稼働の前にシリアでこれを潰した実績がある。イランを挑発して一気に核関連施設を潰すことまで狙っている。

 

●トランプが再選されれば戦争は終結するのか?

トランプが再選されると、彼は戦争が嫌いな人。ウ戦争はやめるだろう。ただ、イスラエルついては元々、ネタニヤフ政権と近く、中東和平を進めていた。イスラエル側の希望でゴラン高原の占領を認めたりもした。パレスチナに米国大使館を移した。イスラエル寄りの政策だった。

完全に武器援助をやめるとイスラエルは何をするかわからないので、攻撃的兵器は送らないとか、自衛のための兵器にするとか、コントロールするだろう。ただ、ロビーの影響力はバイデン政権の時ほど強くなくなる。ポストネタニヤフとして穏健派の首相を引き立てて、イスラエルの政治情勢を変化されるなど、幅広いアプローチをするのではないか。

 

●中国の台湾侵攻のリスクはどの程度なのか

極東は…2023年には台湾侵攻ができるまで中国は軍事力強化との見通しが予想通りになっている。そうはいいながらも、台湾本体への侵攻は地形が急峻で、上陸も容易でない。着上陸侵攻のあとの増援部隊の増援、安全に後続部隊を送る体制が難しい。

現時点では米国に中国は勝てないが、地上戦になると、第一波で10数万、その力は持っている。それに対抗して米軍が海兵隊、日本の自衛隊を送って戦うのは難しい。米国は地上戦を中国とはやらない。勝ち目がない。台湾を地上戦をやっても米国は守るか?曖昧戦略で公言しないし、防衛義務もない。そこが日本や韓国と違う。防御的兵力は送るが…。

台湾独立については、台湾でも独立派でも抑制していた。今回の選挙では6割が現状維持だった。議会選挙で国民党が第一党に。台湾の民意も、独立を言って中国の侵攻を招くことはしたくない。しかし香港のように自由を失うのは嫌だと、殆どの民意がそこに固まってきた。中国は日常から領空侵犯などで台湾を消耗される圧力。海港の閉鎖はいつでもできる体制に。駆逐艦や潜水艦も性能がアップ。対抗できる武器は日米にない。全島の海上封鎖ができる体制になっている。

 

むしろリスクは尖閣、西太平洋は中国の海に?

尖閣諸島については、去年の11月に習近平は、尖閣の闘争強化、領土譲るなと。海上自衛隊の飛行機に対して海警が警告。習近平が軍に対して、海上の軍事準備をしろと。台湾は簡単にできない。機が熟していない。今、いちばん危ないのは尖閣。

先に上陸されると、日本が実効支配しているとはいえず、安保5条の発動対象でなく、日本でやるしかない。沖縄も危なくなる。沖縄の政治工作もやっている。琉球独立論が出て、マイノリティーの権利などで政治闘争が激化して…と。中国が独立承認、そのサポートで軍が周りを固める。自衛隊は動けなくなる。法律戦や心理戦。

尖閣を失うと、こうしたリスクも高くなる。沖縄が取られると、台湾はもたない。武力を使わなくても威力を示して、熟れ柿が落ちるように台湾が手に入る。尖閣は、その重要な試金石。日本が尖閣をきちんと確保すれば、こうしたドミノ現象が起きにくくなる。そうすれば、台湾も、米国も。そうしないと西太平洋は中国の海になる。

 

●中ロと闘えない米国、通常戦力のも核も…核の傘はボロ傘に

伊藤貫氏の「実質でみると、中ロが米国より軍事力が優勢との見解がある。今は核がカギであり、米国は中国とも北朝鮮とも戦わない」としているが、今の米国の危機は移民問題。とても世界の警察官などできない。海外の兵力を引き揚げて国境を守るべきだと超党派で。内側の問題、治安、空洞化した国内産業の立て直しなどに米国は注力。

軍事産業も部品自体を外国に依存。カーボンファイバーや液晶は日本に依存。それらがないと戦闘機も創れない。そうした立て直しに数十年かかる。今ややれる人がいない。人材の養成には時間がかかる。今回のウ戦争で急に武器を作れないのはそれ。

米国は軍事的には弱体化。これ自体が歴史的に異常な事態。北東アジアからも欧州からも兵力を引き揚げる。トランプはNATO解体を今度は本気でやる。インド太平洋重視と言っても、ない袖は振れない。地上勢力は募集しても人が来ない。

インド太平洋は海空主体の闘いだが、その基地となる土地がない。補ってきたのは空母だが、濃密な中国には入れない。バランスオブパワーでは、米国はグアムより西に入れない。分散した海兵隊を入れて、サイバー戦とか宇宙との交信とか、間接的に海空軍を使うなど、戦略を転換している。米陸軍がそういう考え方なので、来援は期待できない。後方の安全な所、南太平洋、豪州のラインで遠望体制。そうしないと展開ができない。空母が入れないからだ。

核については、米国は中ロ同時に敵にできないとのレポートが出ている。ICBMやSLBMは2対1で米国が劣勢。中国はいずれ1500発の戦略核、米、中、ロは、ほぼ対等だ。中国とも戦えないし、ロシアまで敵に回すこともできない。核の傘はボロ傘になっている。戦術核では米中では10倍の格差になっている。米ロがINFで凍結中に、中国は着々と配備。

日本はもう、自分で守るしかない、核保有も真剣に考えるべし。通常戦力は整備に10年かかるので間に合わない。中国は核恫喝をかならずやる。台湾、尖閣で。日本はそれに屈してはならない。

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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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