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ガザ紛争の構図と中東を観る視点としてのグローバリズム勢力との相克…山口敬之氏との対談その2

鋭い分析で知られる山口敬之氏は何十年も中東情勢をフォローしてきたジャーナリストでもあります。11/7に松田政策研究所から生配信した同氏との対談の後半はガザ紛争に斬り込みましたが、会員向けのコーナーで番組自体は公開できないものの、中東を読む際に広く日本人として知っておくべき知識や論点に満ちた内容になりましたので、全てではありませんが、今回その2ということで、以下、文章の形でご紹介したいと思います。

 山口氏によると、そもそもハマスとは反PLO組織としてイスラエルが育てたもの。ハマスによる急襲は、少なくとも事前に察知されていたのが黙認されたものであり、イスラエルの強硬派を無視できないネタニヤフ政権はこれで政治的求心力をいったん取り戻したのは事実。しかし、ネタニヤフ首相はグローバリズム勢力からは嫌われていた自国ファースト派(トランプ氏同様)であり、バイデン政権が早くも見捨てているようです。

もともと中東地域は米英により、紛争が絶えない地域として設計されており、この地域がアラブとしてまとまって求心力を持つことは米英グローバリズム勢力にとっても、中国にとっても避けたい事態だった…。もちろん、ウクライナ戦争で勝利を目前にするロシアにとっても、これに代わる武器マーケットを得たい軍需利権にとってもガザ紛争は歓迎すべき事態。そこには、思惑が一つの方向で一致する三つの同心円があるそうです。

では日本はどうすべきか。イスラエルとパレスチナの両者に対してこれだけ影響力を発揮できる国はほかにないことを忘れてはなりません。ますます微妙な立ち位置に追い込まれているバイデンの米国に隷従するままでは日本の国際社会での道は拓けない。ここはやはり、世界観をもった総理に代わってもらわねば…。

ここで山口氏が示した原則、「テロは絶対に許さない」、「無辜の市民を殺してはいけない」は、世界の戦争の真因はグローバリズム利権にあるとの認識と併せ、安全保障に関する参政党の基本理念と見事に一致しています。

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 以下、山口敬之氏によると…、

 

●そもそもハマスとは何なのか

パレスチナ情勢とは?パリサイ人のアラブ人のあのあたりに住んでいる住民をパレスチナ人と言っている。意図的に紛争を植え付けるために…。英国のバルフォア宣言でロスチャイルドにパレスチナにユダヤ人が国家を創ると約束して一枚のレター。そして、アラブ側には、オスマン帝国に抵抗したら支援すると。英国と背後勢力が約束。三枚舌。

それで英国はあえて紛争を植え付けた。あそこが一体となって経済圏としてまとまることが英国にとっては一番困るからだ。石油利権は全部英国がとった。民族自決をされては困る。イランはペルシャ人でシーア派。そこまでは含まないが、それ以外は全部英国が。それが全アラブ10いくつの国になった。勝手に英国が作った国々。

サウジは米国、サウド家。米国がついている。こうしてバラバラになっている。英米にとっては紛争が起ころうが関係ない地域。こんにちまで巨大な利権が維持されたのは、国際金融資本であり、第一次大戦後の世界秩序を創ろうとした米英連合、そこからCIAや外交問題評議会が生まれた、その連中。

ユダヤに大量移民で軋轢が最初に起こり、抵抗運動としてテロが起き、イスラエルの犯罪とみなされ、アラファトはチュニスに逃げる。その後、オスロ合意で、94年に、ガザ地区は自分たちのエリアだと国境を超えて街宣し、統一的にPLOが治めるとした。ハマスとは、反アラファト、反PLOの組織。アラファトはチュニジアに逃げて、英雄でもなんでもない、紛争を食い物にしている、そう言う人たちが1990年代の前半からいた。

パレスチナのガザに住んでいない人たちに我々を代表させていいか、ということで生まれたのがハマスであり、貧困層に向き合う。だから、政党としてのハマスと、武装組織としてのハマス。「ダーワ」という慈善組織もある。アラファトはガザを代表していないとしてガザ地区で支持者を広げるためにおカネ、食料、医療などを提供して勧誘した。

イスラム教は聖職者がいない。全員がムスリム。ムスリムはそうでない人に施しをして招待する。それがダーワ。それで党勢を拡大し、慈善組織としてのハマス。これにエジプトとシリアがカネを出した。そして、パレスチナ立法議会選挙でハマスが比較第一党に。首相が出た。ダーワが成功した。反アラファトでスタートして政権だった。

重要なのは、初期のハマスを支配していたのはイスラエルだったこと。PLOがヨルダン西岸とガザ地区を一体としてパレスチナの統一的代表となると、イスラエルと一対一になって対峙してしまう。パレスチナを分断しようと、イスラエルやモサドは資金を出して、反PLO運動を始めさせた。これはパレスチナの悲劇だ。

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中東の三つの同心円…イスラエル内部の亀裂と平和秩序を望まない米英

中東を分断する米英の戦略、今度はパレスチナ分断工作。スンニー派のエジプトとシリアがメイン。しかし、アラブの春で政権交代、ムバラクが終わり、シリアは大混乱。結果としてシーア派連合はハマスの支援をしなくなった。そこに入ってきたのがイラン。攻撃は革命防衛隊。攻撃の一週間前の日に、ベイルートでハマス、ヒズボラの幹部と協議。

ハマスはパレスチナ分断のために大きくなった組織。その作業には米国も関与した。アルカイダを作ったのも米国だし、コソボでも…同じことをパレスチナでもやった。それに牙をむいたのがアルカイダだった。ムバラクの頃は管理下だったが、ハマスの支援をしなくなってイランが入ったから、今回は指揮関係になく、米国とハマスは遠くなっている。しかし、革命防衛隊は米国の民主党とつながっている。

所詮は分断工作だ。だから今回の話はヨルダン川西岸では静か。ガザ地区で殺されていても、こっちでは暴動が起きない。PLOは現在、「ファタハ」になっている。選挙で惨敗してから、同じパレスチナ人だが、PLO後継のファタハが支配しているから連帯できない。

では、どうして急襲が起きたのか。そこには、イスラエル国内の力学と中東の地政学と世界全体の力学の三つの同心円がある。これが惑星直列となって、急襲が黙認された。10/710何カ所、陸路で突っ込んで爆破、検問所の状況からも絶対にできないこと。ドローンや衛星などで24時間監視。誰かがやらせた。組織としてか、一部の内通者か。放置したのか…わからないが、奇襲攻撃事態を抑止できるのにしなかったことは確か。

では、極地での力学とは…イスラエルの内政は不安定で、常に連立政権をつくらねばならない。ネタニヤフは去年復活。2年前に汚職でひきずりおろされた。裁判所の決定をかいくぐる形でリクードの党首となり、比較第一党で首相に。くっついた政党の一つがイスラエル強硬派で、ここと組んだからも、言うことを聞かねばならない。

イスラエルの国内政局が不安定化していた。ハマスの急襲攻撃で、翌日には挙国一致内閣に。結果として攻撃で現状は、一枚岩になれている。

では、次に中東の同心円で、西側に目を向けると、イスラエルとサウジとの様々な連携が強化される話が具体的に始まろうとしていた。サウジとイランが歴史的な和解にも向かっていた。イランの革命防衛隊がハマスのバックにいる。今回の攻撃で、イラン政府とサウジ政府のやり取りを革命防衛隊が妨害することになった。両国が話をできなくする上では、今回は最高の結果に。

サウジはイスラエルとの連携ができない。同じスンニー派のパレスチナ人が今、殺されているからだ。今のイランの行政と革命防衛隊との軋轢もある。サウジと和平などとんでもない、というのが革命防衛隊。イランと仲良くするなどとんでもないというのはサウジの中にもある。もともとサウジの政府は米国と深くつながっている。

ただ、米国の利権はスタンダードオイルだけであり、ワシントンDCでは、サウジ大使は大きな存在。しかし、米国の利権とくっついていて、この人たちがイスラエルとくっつくのをいいと思う人と悪いと思う人が米国内に両方いる。

これら三つの連携が一体となるのは米国うれしくない。OPECが一体となって米国の影響力を排除して石油価格を決める。すでにサウジは米国の増産要請に応じていない。それが強くなる。英国もロイヤルダッチシェルはスナク政権を動かす人たち。中東がまとまる、宥和的になられては困る人たちがいる。

そもそもバルフォア宣言など英国の三枚舌とは、エネルギー利権や金融利権にとって、中東が一体化しないという利害。これこそグローバリズム勢力。

 

ネタニヤフ首相とはどんな人物か…グローバリズム勢力が嫌うナショナリスト

ポーランド出身のシオニストの家系。イスラエルで生まれた政治家としても初めて首相になった人。第二次中東戦争で負傷、経歴として完璧。愛国者、イスラエル生まれ、両親は建国ではせ参じたユダヤ人。その分、グローバル勢力から嫌われ続けている。何回も首相の座を追われたり、刑事訴追、家族も逮捕。トランプと似た評価。

嫌われているのは言うことをか聞かないから。ボリス・ジョンソンが去年突然解任、翌日に安倍総理が暗殺…この三人は世界で最もトランプと仲がいい世界の三人だった。それが次々と失脚したり殺された。ネタニヤフ憎しの米国の構図がある。この認識は不可欠。

イスラエル人が1,400人死んだと言うのに、バイデンはガザ地区の人道問題に移っている。これがネタニヤフが首相でなかったら、そうならない。米国は足抜けにかかっている。ネタニヤフがハマス急襲で支持が復活したのは米国の本意ではないからだ。

もともとがグローバリズム支配のバイデン政権。ブリンケンもガザ地区に情緒的な言辞。これはネタニヤフ批判。ホワイトハウスの高官も、今は挙国一致だが、地上侵攻が終わったら、内閣は解散し、ネタニヤフは退陣すべきだと言っている。

米国がいままでのようにイスラエルに寄り添っていないのは、ネタニヤフがいやだからだ。彼はイスラエルファーストと言っている。トランプのアメリカファーストと同じ。ネタニヤフは、米国に住んでいるユダヤ人は裏切り者だとすら言ったことがある。そういう発言をして撤回に追い込まれた人。建国ではせ参じた両親を持つネタニヤフとしては、はせ参じなかったユダヤ人は愛国者でない。はせ参じなかった人とは、ほぼDS

ユダヤの内輪もめに近い。イスラエル国内の軋轢であり、ユダヤ社会の中の軋轢という面のほうが大きい。

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ロシアや中国は、世界の地政学としてみると…中東での紛争は好都合

ハマスと中国は深い関わりがある。毛沢東主義で米国では中国が奉仕活動。サンフランシスコやオークランドで。それはダーワと同じ。今回のハマスの手作りのロケットは中国製だったりしている。資金協力、抵抗運動を植え付けるという作業は中国もやっている。

ハマスは共産主義は否定しているが、紛争の陰に中国ありとは世界の常識。今回も、サウジ、イラン、イスラエルがバラバラになった方がいいというのは、中国も同じ。

気になるインドはイランの隣国。彼らなりの中東のリアリティは大きい。あそこが一体となってしまうと、全部自由主義陣営。あのイランも共産主義ではない。非共産主義者の塊が求心力を持つのは中国にとってうれしくなく、紛争継続のほうが個別に対処できるし、軍事的経済的に分断したら使えるのが中東地域。

米国の戦線拡大は中国にもプラス。ウクライナ戦争だけだと、もう終息する。これで中国が極東で悪さをするというのは、米国でも深刻なシナリオとして議論されている。これも中国にとっての戦争の利益だ。

ロシアは…。今回は直接的にハマスに何かしている痕跡は見えない。ハングルの兵器は見つかっているが、北朝鮮とロシアの国境経由という説のほかに、ウクライナ経由との説が強い。ウクライナは世界の武器市場の交差点だ。日本は何千億円も出しているが、どう使われているか。北朝鮮の資金源になっている可能性も高い。北朝鮮の水爆実験はウクライナの研究所で開発されたもの。日本のウクライナ支援とは?売国というより、日本を攻撃する岸田総理だ。

もちろん、グローバルな軍事利権にとっては戦争マーケットがほしい。米国の権力構造がそうなっている。ウクライナ戦争が萎めば、今度は中東で人殺しを…。

ワグネルは中東に跋扈してきた。革命防衛隊とも深い関係。ドンバス、ドネツクなどの共和国は、ウクライナ侵攻までは、ロシア軍が入ると戦争になるといけないものの、治安維持は必要とされた。ワグネルは民兵だが、ロシアの公式組織。彼らはイランを支持し、米国の中東政策には反対だ。

ロシアにとっては、米国の関心をウクライナからそらす上で好都合。あの一帯でロシアが反転攻勢しており、ウクライナが勝つというのは今や全く不可能。ウを完全にあきらめさせるためには、EUNATOの支援をやめさせる。そうすれば完全に勝てる。米国下院議長がトランプに近いジョンソンであり、ウにカネを出さない。米国の軍事力が中東にそぎ取られる。

ソ連はイランにも関与してきた国。特に革命防衛隊とロシアは仲が良い。それを仲介しているのはワグネル。ハマスやヒズボラ支援。ロシアが今回、得たのは、米国の一方面を方面ではなくすことだった。

今でもヒズボラはイスラエル攻撃を相当やっている。タッチ&ゴー作戦。彼らは事実上、イランの革命防衛隊の配下だ。ヒズボラはこれからもっとやってくる。10万発のミサイル。今のハマス使用のものではなく、最新型のもの。イスラエルが軍事的に敗北するシナリオも指摘されている。国境線の侵略、ゴラン高原ではありえる。地上侵攻されるシナリオも。

 

●日本はどうすべきか。テロには反対、無辜の市民を殺してはいけない。

まず、G7の声明に日本は参加しなかったのは大きな間違いだった。自分は中東を30年取材して感じてきたが、日本人であることは最強だ。イスラエル側でもユダヤ人を救ってくれた国が日本だ。知らない人はいない。パレスチナは、ずっと日本を応援してくれた。極左テロリストまで応援。どっちにいっても大歓迎されるのは日本だけだ。

日本しかできない声明文を創って両方に示すべきだった。逃げないで。しかし、今は岸田と上川は雄犬と雌犬。中国よりの人に代わって、ものすごすい米国側の人に。

バイデン政権の指揮下に入っていると、バイデン政権が微妙なときに日本が国際社会で輝くことは不可能だ。日本の先人が積み重ねてきた完璧な外交関係を、ここでなぜ、打ちださないのか。そういう世界観を持った総理に代わらねばならない。

日本は両方に行って両方に支援できる。両方と話ができるからだ。ガザ国際空港、ヨルダン西岸でも農業団地。中東パレスチナでは日本は誇れるものがたくさんあるのに、米国に隷属しているのはもったいない。もう少しまともな世界観を示すチャンスだ。

テロはダメですと言えばいいだけだ。違う総理なら、少なくとも議長国としてリーダーシップを取れる。どちらもテロは駄目というのと、即時停戦もダメ。ほっとくとまたユダヤ人が殺される。自衛権がある。ただ、軍事侵攻をして無辜の民は殺してはならないと言うべき。テロはやめよう、市民を超すのをはやめましょう。そこから話し合いが始まる。

それは米国にはできない。米英が作っている戦争だから。彼らにできないから日本が出ていく。それが国際社会。

こうした考え方は全く参政党の立場でもあります。
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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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