fc2ブログ

記事一覧

総裁選、総選挙、そして今後の日本政界の課題~有識者たちが斬る~動画ろんだん@松田政策研究所

自民党総裁選で岸田氏が選出されたことをどう見るか、その背景にはどんな動きがあったのか、岸田新内閣はどんな性格と位置づけの政権なのか、そして、今回の総選挙の結果をどう評価し、そこから今後の政界の流れをどのように展望すべきなのか…。

これらについて、総裁選の直後から総選挙の直後にかけて、田村重信、阿比留瑠比、八幡和郎、小川榮太郎、西村幸祐の5人の論客たちがそれぞれ論じた対談番組をご紹介します。

特に、総選挙後に浮かび上がった日本政界の今後の課題については、6本目にご紹介する西村氏の「政界アウフヘーベン論」が興味深い視点を提供しています。また、最後に、総選挙の総括として、私のひとり語りによる解説番組も掲載しています。

以下、ご関心に応じて、各氏の議論をお楽しみください。

●田村重信氏(政治評論家) 収録時点は総選挙前
最近では海外の報道にも頻繁に登場するなど内外で大活躍の政治評論家、田村重信さん、ずっと自民党政調に席を置き、歴代政権と苦楽をともにした積み重ねに基づくコメントには重みがあります。そんな田村さんが、総裁選を振り返り、岸田政権にモノ申し、来たる総選挙についてコメント。ただ、政治の世界は一寸先は闇…早速、本番組収録後に国政進出をあきらめたファーストの動きについてのコメントは古くなりました(本番組で古くなっているのはこの部分だけです)。

中身の不明な「新しい資本主義」も「成長と分配」も、下村治氏などを囲んで本格的な経済の勉強会を積み重ねて所得倍増などの政策を出していた頃の宏池会と比べると、あまりに付け焼刃的…。所信表明でアフリカの言葉を出すぐらいなら、安岡正篤の言葉ぐらい探してみては…?どうも、近年の政治家は教養が浅く、思考も言葉も軽い…

◆『田村重信氏に訊く!岸田内閣と総選挙』ゲスト:政治評論家 田村重信氏
  ↓↓↓


外国のメディアからの取材では、あんな人気の無い人をなぜトップにとするのかと言うメディアが多い。これは民主主義とは何なのかという点に絡む。党員と国民世論の気持ち似ている。だから、岸田内閣の支持率が出だしで高くない。麻生さんの時の次に低い。総選挙がすぐなのに、どうしたことかという気持ちはある。

結局、河野さんは国会議員の中では不人気だった。やはり、政治家は「気配りが9割」(田村氏の著書の題名)の世界。政策がいいとか頭がいいとかいっても、多くの人が応援しないと政策は実現しない。

・岸田政権をどう見るか…
新しいものを何かやるというものはない。「新しい資本主義」などの言葉はあっても、「成長と分配の好循環」と言っても、何のことなのかは、これから検討。きちっとしたものがないと…。自分は最初は宏池会だった。大平さんのとき、下村治さん、高橋亀吉さんなど、そうそうたる人が週一回集まって研究会をしていた。それが今の宏池会にはなくなった。

所信表明の…「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」一人であれば、目的地に早く着くことができるかもしれません。しかし、仲間とならもっと遠く、はるか遠くまで行くことができます。…これはアフリカの言葉らしいが、そんなの聞かない。そんなのをもってくるのはいかがなものか。

かつては安岡正篤の言葉とか、佐藤栄作もそれなりの人に…。哲学というか、そういう深みが無い。総理総裁として自分は何をやるかが所信表明で出てこないと。

まずは時代認識、危機感が無いのでは。高齢化の問題。日本の高齢化率は世界一の29%台、二位のイタリアの23%台とこんなに開いている。実質成長率では米英は2.5%成長なのに日本は1%。韓国の一人当たりGDPは購買力平価で日本を抜いている。そういうことを国民によく分かっていただいて、その上で何をしなければならないかということを出すべき。

分配の前に成長しないと…。日本経済がうまくいかないのは、技術の乗り遅れが一番大きい。今でもファックスを使っている。日本の国内だけならいいが、今の市場は世界が相手。韓国もタクシーは電気自動車に。日本は日本でいいでは済まない。縮小するだけ。現状維持は縮小。日本の資源は人材。教育のありよう。今までは東大、記憶力、今はパソコンで検索で出てくる。今必要な能力は違うことになっている。問題にどう対処できるか、発想力の時代。なのに、教育にかけるお金がやけに少ない。米国留学も中国韓国が桁違いに多い。教育投資。日本人のノーベル賞も米国に行った人が多い。ものはある。いいものを発明する。しかし、それをごビジネスにつなげるのが下手。

岸田さんは外交は、外務大臣やっていてバランス感覚持っている。安全保障の感覚は十分。それと経済との関係も。安定感あり。問題は、新しい資本主義とは何なのか。

まさに渋沢栄一の「論語とそろばん」。それを言ってほしかった。お金儲けとモラルのバランス。自分ならそんなアドバイスをした。

・総選挙は…?
予測では自民はわりといい。ただ、抜けているものがある。維新が増えている。問題は都民ファースト…比例だけで3をとる。それを発表したその夜に、岸田さんは選挙を前倒しした。岸田さんの判断の一番大きいのはこれだった。一週間早まると選挙準備はえらい大変。19日公示で31日投開票だが、その日は仏滅。そんなこと言っていられない。

4年前の希望の党の記憶。最後に今回も小池さんがドンと行くと大変だ。

成長と分配の好循環は、言葉だけではダメ。準備して、新しい資本主義とは何か、令和の所得倍増とは、どんな産業を育てて、何年ぐらいで達成して、こういうことを言わないとならない。池田勇人の時は着実に実現したから、自民党は勢力を拡大できた。

…結局、岸田氏の策略でファーストは時間不足となり、今回はやめたので、田村さんが懸念したような台風の目こそなくなりましたが、これは逆にいえば、来年の参院選のときには本当に台風の目になるかもしれません。

●阿比留瑠比氏(産経新聞論説委員) 収録は総選挙前
安倍元総理と密な関係にあり、その本音をよく知っている産経新聞の阿比留さんに、総裁選の総括と岸田政権の性格、総選挙後も見据えた今後の動きまで論じていただきました。

ただ、対談の中でかなりのウエイトを占めることになったのが、安倍氏も間違っていると切り捨てた、あの矢野財務次官論文。安倍氏は財務省のことを「不思議なぐらい、経済を知らない人たち」と言っていたそうです。そこまで言うとは…よほどのことなのでしょう。自分で言うのもヘンですが、私についていえば、現役の大蔵官僚だった頃は、金融関係者などからは、松田ほど経済を分かっている人は珍しいと言われていたものなのですが…。よく考えると、財務省にしては珍しいという意味だったのか…。

岸田政権についていえば、阿比留氏は、憲法改正も防衛費も皇位継承問題も、保守色の強い政策がかえってするすると通っていくメリットがあるのではないかとおっしゃっています。何をやりたいのかよく見えない、メッセージ性がない、つまらない…そんな岸田さんを高市さんがうまく導けば良いということになるのでしょうか。

◆『総選挙突入!自民党は変わったのか?』ゲスト:産経新聞論説委員 阿比留瑠比氏
 ↓↓↓


・総裁選について
怒涛の総裁選。次々と状況が変わった。誰が出るか、当初は菅さん、結果的に出られなくなった。総括すると、自民党はいままで通りとか、枝野氏は自民党は変わらないと言ったが、かなり自民党は変わった。二階さんが完全に没落し、二階派もこれから壊れていく可能性。石破さんがもう立場を失った。総裁候補ではなくなった。岸田さんの背後霊の古賀誠さんも影響力を失う。小泉さんと河野さんのポピュリスト的な人気者が総裁選を制せなかった。石破さんの旧田中派の雰囲気も、小泉総理以降のポピュリスト的雰囲気も消えた。

トリプルAには誤解がある。麻生さんは甘利さんが幹事長になることを知らなかった。官房長官がなぜ、安倍直系の萩生田さんではなく、松野さんなのか。人事は決して自分に配慮したものではなたったとの安倍氏の言。菅さんが出るなら菅さんを応援と決めていたが、降りたことで状況が変わった。河野さんにやらせてはいけないというのが自民党のある程度の人間のコンセンサス。総裁選中の過激な言動、危ない、エキセントリックすぎる。

イージスアショア断念の独断専行的やり方、ただのポピュリスト。

安倍さんは最初は高市さんに肩入れしたのではなく、菅さんを勝たせるためにということだった。菅さんが降りた後は、河野さんをおろすために。しかし、高市さんの本気度で、安倍さんも本気に。漁夫の利を得たのは岸田さん。岸田さんを後継にと考えた時期はあったが、心は揺れ動いていた。石破さんは絶対にダメ。ならば、本人にやる気があるし、良い人物でもあるし、だった。しかし、決断力のなさに、総理は務まらないとも考えた。

去年の総裁選から、態度が違ってきた。最初からああやればと言っていた。

総裁選の結果は見えていた。高市氏が勝てないのは分かっていた。しかし、安倍さんがあんまり頑張るので、麻生さんはびっくりしていた。高市さん、当初は泡沫的、仲間がいないから。一人で政策を書いているタイプ。話せば朗らかで面白い人だが。あんなに弁が立つ人だったか、Q&Aがあんなにうまい人だったか。高市さん本人としては、自民党がこのままだと敗ける、リベラルばかりが総裁選では…との思いで出馬した。ここしばらく自民党から離れていた保守層がさらに離れる。それが安倍氏の問題意識に重なっていた。

結果として岸田、河野も保守に寄った。出ないとリベラル合戦になっていた。一気に女性総裁候補に高市さんが浮上した。

・岸田政権は…
岸田さん自身が無色透明にみえるだけ、良い方向に進む可能性。党で防衛費増額を高市さんが訴える。安倍さんなら野党は反発するが、岸田さんならするすると。憲法改正も安倍さんのもとではと言われていた。しかし、それはデメリットにもなりかねない。

経済安全保障は大事。本来は安倍政権もやりたかった。岸田さんがするすると進めてくれるのは良いこと。外交安保に関しては安倍路線をきちんと引き継ぐ。さらなるミサイル防衛、敵基地攻撃も含めたものと解釈される。

「新しい資本主義」は肉付けがこれからというのは、言葉遊び。これから会議をつくる。褒められた話ではない。新自由主義を否定しているが、その言葉自体がわからない、何を指しているのか。格差と言うが、コロナ前は格差は縮まっていた。賃金が上がらないのも長期にわたるデフレが原因。非正規雇用が増えれば、平均賃金は下がるのは当たり前。分配ばかり強調していては…。

・岸田さんの性格は…
本当に人の話をよく聞くのか。聞くときには聞くが、安倍さんと岸田さんは萩生田さんを官房長官にという話をしていたのに、外した。頑固なところを見せている。福田達夫の総務会長はいやがらせ。当選3回で総務会長になったら、まず総務会長の全会一致の仕事ができるか、終わったあと、行き場がない、総務会長はできる人だということを見せるポストでもないし、何様かで終る。岸田さんは本当に良い人なのか?

今は良い。解散の決断も早かった。今はバンバン打ち出ししている。ただし、あとあと、優柔不断さが外交なんかで出るのではないかと言われている。宏池会だから親中派だということではない。そもそも自民党は、全部が親中。いざという時の断固たる決断ができるか、そこだ。台湾有事=日本の有事、北がぶっ放す、韓国からの在韓米軍の撤退とか、ロシアも危ない。外務大臣を4年間やって安倍さんの立場は分かっていても、岸田さん自身がどう決断できるかわからない。

人事は、政調会長に高市さんは歓迎したい、代表代行も古谷さん、はっきりした色を打ち出す。岸田さんは派閥の長なので派閥の議員はよく知っているし、開成高校出身の議員も。しかし、それ以外に党内にネットワークを持っていたのか。

・総選挙…
公約を見ていると、高市さんの言っていたことが出ていて、岸田さんの言っていたことはあまり出ていない。党と官邸は常にせめぎ合い、緊張感があって良い。官邸一極の雰囲気は変わってくる。総選挙を早めた狙いは、野党の準備不足を突くこと。一週間早めたところでリーダーシップを感じさせた。

衆院選はなんとか乗り切るが、その後の政権運営が色々と問われる。やはり、来年の参院選がすべて。それまで支持率が落ち続けてダメ、政権はもたなくなる。支持率が落ちる要因は、一つはコロナの再拡大。心配しているのは、「なんか、つまらないな」という印象。

菅さんが嫌われたのは、良い仕事をしているのに、なんとなくいやだな、だった。常時30%台の支持率が続くときつい。割り切って高市さんをバンバン出して。高市さんはハッキリと、しかもやんわりと、彼女らしい関西弁で言うのが良い。

憲法改正、GDP比2%、皇位継承…安倍さんなら反発を買うが、岸田さんなら…。皇位継承は、菅さんのときに、いままで政府の公式文書に入らなかった旧宮家が入ったが、安倍さんがやったら反発された。ぜひとも政権をとった以上はやってほしい。改憲は、維新や国民民主とちゃんと腹合わせをしてやってほしい。保守色が強くない人だからこそ、保守色を反映した政策を実現できることを期待したい。

●八幡和郎氏(歴史家・評論家)その1 収録は総選挙前
驚くほど政界のウラをよくご存知の八幡和郎氏に、総裁選の舞台裏、岸田内閣の特徴や岸田政権の行方、そして今回の総選挙などについてご見解を伺いました。昨年の総裁選で岸田さんが安倍後継にならなかった最大の理由が、広島での河合夫妻の公選挙法違反事件。身内で地元の溝手氏を岸田さんが抑えられなかったから、河合氏による、あんなカネのバラマキが起こってしまった…。

では、岸田政権はどんな政権?とにかく、主要政治家たちについて色々と興味深いお話が次々と出できますので、番組を楽しんでみてください。

◆『八幡先生に訊く!秋の政局、自民党総裁選総括と総選挙の行方 その1』ゲスト:歴史家・評論家 八幡和郎氏
 ↓↓↓


・岸田政権のこれから…

宏池会だから、常識的な政権だが、憲法とか皇室とかはあまり関心が無い、それが宏池会の伝統。逆に言うと、憲法改正と皇室問題の決着は安倍さんとの約束。それらをやってほしいなら、保守派は経済政策などには本当に困ること以外は口出ししない方がいいと保守派の人たちには言いたい。

安倍政権のときに岸田さんが後継とされた理由は、一つは、安倍外交の継続。韓国に対する強硬姿勢も、これらをゆるめないことが安倍さんのレガシー。第二に、安倍さん自身とか高市さんといった保守系では、「安倍さんのもとでは憲法改正反対」とされる。安倍さんの路線は敵を作りやすい。保守系のもとでやるよりも、ややリベラルな匂いがする人のもとでのほうが好都合かもしれない。

憲法9条だって現状に即していないではないでしょうか?とやんわりと言うのが反対しにくい言い方。仮に自公維新で3分の2は確保できても、国民投票では過半数とれるか。国会が大荒れになって、それでとれるのか。そうなると、玉木さんや上田さんや小池さんなども取り込んで…。そういうところにもってこないと、改憲は難しい。岸田政権の下で大連立をやってやれなくもない。改憲は大連立、第一党、第二党が入った政権で。大連立で改憲すれば、日本の政治が、改憲がテーマではなくなり、二大政党が成立しやすくなる。

中道右派と中道左派で。改革か非改革かで。

岸田内閣で大連立組んで憲法改正をやる。愛子天皇ではなく悠仁様でと決める。旧宮家の復活を排除しないとする。どこかでリベラルを取り込まねばならないのだから。いずれ、安倍さんの復活も。3年後の大統領選挙でトランプが勝てば、世界中が安倍さんを求める。一回目より二回目、二回目よりも三回目。ややリベラルな路線で岸田さんがやっていくほうが、保守派にとって急がば回れになる。

経済政策は、所信表明では、「みんなで行けば遠くへ行ける」と言ったが、これを叱咤激励で行くのか、アメをしゃぶらせていくのか、どちらか。叱咤激励ならうまくいく。世界のリベラル政権はそれ。マイナンバーもワクチンも強制で、バイデン政権がそう。わがまま言わさずにであれば、経済政策は合理的になる。新自由主義はついてこない人は、という発想。河野さんはこれ。みんなを頑張らせることが岸田政権だが、それができるのか。ソフトなやり方はカネがかかってあまり進まない。

日本で改革がうまくいかないのは、罰則ではなく、アメをしゃぶらせるやり方だから。マイナンバーカードをとらないと、バンバンカネが要るとなると、すぐに普及する。日本のやり方は、これをやると安くなるというもの。カネがかかる割に効果が無い。マイナンバーカードがないと、160円の切符が260円になると、一発で普及する。岸田さんはそれをやらないから、リベラル改革はできない。強引なところに踏み込まない。 

●小川榮太郎氏(文芸評論家) 収録時点は総選挙投開票日
厳しいと言われながらも、自民は単独で安定多数を上回り、岸田政権は一応、有権者から信任を得た形になりました。ここから、岸田政権は、日本の政治史の中でどのような位置づけの政権となることを目指すのかが、本格的に問われることになります。

安倍元総理のブレーンである小川榮太郎氏の見解は、安倍、菅、そして岸田への積み重ねによって、大きな意味での国家観の軸が定まること。すでに安倍時代に、安全保障を巡る議論では、無意味な左翼は空洞化していましたが、野党共闘で自民党の議席を大きく脅かした今回の総選挙の結果も、そのことを明確化したものといえるかもしれません。

日本の政界が不毛な議論からようやく脱し、これからは、自民党自身がどこまで「リベラル」になり得るのか、保守政党としてその限界はどこまでなのかを明確化していくことが、リベラル色が強い岸田政権の課題。

その際、他方に高市政調会長の軸があり、自民党が多極化していくことも、次の政治のあり方を創造していく上でプラスであるというのが小川氏の見方です。

◆『総選挙、日本の未来と”文化”の力』ゲスト:文芸評論家 小川榮太郎氏
 ↓↓↓


総選挙後、岸田政権はどうなっていくのか、岸田政権に望むことは…

大きな意味での国家観の軸が定まることを期待している。安倍政権が長期化し、その間に無駄な左翼、9条絶対とか、無駄な意味ないものに日本はエネルギーを割いてきた。

本人だってやれっこないと考えている非武装中立のよう不毛な議論、そうでないところに行きましょう。無意味な人たちが安倍時代に空洞化してきた。

安倍さんは安全保障以外は実際はリベラルだった。一応、本人は保守的なことをやりたかったのだが…。それを岸田さんは「日本リベラル」とは何かを明確化する、とはいえ、保守政党としてどこまでリベラルなのかを決める、線を引く、それが岸田さんの役割。

ハト派の宏池会、岸田さんがハト派を守れるかとも言われるが、日本ではハト派は死語。

核武装して軍事力で現実に尖閣で軍事行動を起こすことまで主張する人など、日本の政界にはいない。北朝鮮に武力で被害者を返せなどと言う人はいない。安全保障をまともにやる中でのハト派が安倍総理だった。そこが世界基準で言うハト派。

岸田さんの役割は、安全保障で安倍さんが目指したところを明確化させること。そういう岸田さんがいて、高市さんが右張りにして、というのが、これからの政策論争の主軸になるし、そうなることに意味がある。自民党には二つの翼。

マスコミが主導しようとしていることは、実際には国益にならず、不毛であり不可能なこと。マスコミ受けすることを言わずに、国民が利益を享受できることを岸田さんがやれば、安倍、菅、岸田さんで大きなブレなかったことになる。そこがブレると、また後戻りしてしまう。

今回の総選挙では、基本政策は高市さんが主導した。選挙を高市色でやってしまった。岸田さんを超えて党の公約にした。それが、選挙後を縛ることになる。安倍、菅、岸田と重ねてきて、党の軸はそちらになる。日本は理屈を論争してドラスティックに転換するのは苦手。何代かにわたる政権がコンセンサスを創ったかどうかが、大きなことになる。

政策では高市主導、それが実際に立法、予算措置に入ると、色々な人が出てくる。そのとき、政調会長が打ち出した公約をどこまで党として守れるか。岸田、高市、甘利、メディアを背景にした河野と周りの若手、そして安倍さん…主導権がないまま拮抗していく政権になる。多極化する。安倍以前に戻って、権力の集約状況が見えない状況になる。

安倍時代は、一つの大きな、影響がどれぐらいの大きさかわからないぐらい大きな変化を起こした時代だった。同時に、憲法改正はあれだけの議席でもできなかった。安倍時代に反日左翼は大騒ぎしたが、政権は倒せなかった。彼らは、安全保障では国民の支持は得られなかった。そこに出てきたのが「もりかけさくら」だった。安倍政権の後半は、もりかけで生産的な議論はできなかった。保守派は安倍さん頼み、反対派は安倍さんなら全て反対。そうした大きさというものに、安倍政権は自分自身ががんじがらめだった。

それが終って流動化する。安倍時代に出されたものが、どう実を結ぶかは、一度、縛りがなくなってみてから進んでいく。甘利さんが何をやるか、一方で高市さんは原理的な政策は出すが、どこまで党がついてくるかわからないし、岸田さんは誰の話に基づいて決断していくのかがわからない。このように、主要なプレーヤーが読めていない状況は、むしろ望ましい。ただ、麻生さんも安倍さんも甘利さんも高市さんも、河野さんを取り巻く若手たちも、みんなが烏合の衆ではない。それぞれが一家言持ちながら、流動化している。

次の時代を創る上で悪いことではない。

台湾、コロナからの回復、一国の猶予のない状況の中で、参院選までぴっちり行くのか、参院選を乗り切れるのか、それ次第で政局が来る。

●西村幸祐氏(批評家) 収録時点は総選挙後

【政界のアウフヘーベンは可能か?西村幸祐氏による総選挙の総括】
◆『メディアの”ウソ”がすべてばれた!総選挙総括』ゲスト:批評家 西村幸祐氏
 ↓↓↓


・総選挙の総括…
簡単に言うと、メディアのウソが全部ばれた選挙。メディアの不見識とモラルの欠如が露呈した、ある意味で決定的。今までもメディアが正確な情報を伝えていないという問題が今世紀に入ってからずっと続いている。それがダメを押された。全ての既存メディアのご臨終宣言。自民党が大幅に議席を減らし、立民が飛躍的に伸びるとメディアの多くが予測していた。

立民が比例で23議席も減らしたのは当然のことで、枝野の地金が出た。共産と組んでもおかしくない人、それが民主党政権で官房長官をしていた。その後の10年間で政党の変転はあったが、その中で、枝野氏は自分のよって立つところに最後に戻ってしまった。彼自身が自らのアイデンティティを大切にした、それが共産との連携であり、それが世の中に受け入れられないことに気付かなかったことが、あの人の本質。

今回、多くの大物議員が落選や苦戦をしたが、これは世代交代では説明できない現象。小沢一郎の小選挙区での敗北と辻元清美の落選は、戦後、日本を失わせてきた立役者である「60年体制」の自民と社会が拮抗する政治システムが終ったことを象徴するもの。

本当に壊れねばならない制度疲労。その戦後体制そのものを象徴していたのが自民の小沢一郎と社会党の辻元清美だった。党は違うが、政治的スタンスは同じ側にいた。

日本の永久占領、従属体制、対米、対アジア、対国連への従属体制。日本の国家主権などなくてもよい。日本の独立を許さない体制。その主体が米国なのか連合国国連なのか、そこに中国共産党のウエイトが高まってきている。米中共同管理、日本列島が米国と中共による共同管理という思想が根底にある。

そもそも「国連」という名称などおかしい。どこにも書いていない。「連合国」である。かつての国際連盟は日本が常任理事国をしていたが、それは国連だった。自分は連合国(国連)と必ず書く。日本だけが国連と言っている。占領中にGHQに迎合した外務省がそういう訳語を創ったのか。中華民国も中華人民共和国も「連合国」。韓国も。「連合国秩序」であり、「戦勝国秩序」。日本は国連に幻想を見ようとしている。小沢、辻元の二人とも体制側。それは戦後秩序の体制。

・維新の躍進について…

2012年のあの時の維新は良かった。自分も維新から国会に呼ばれて意見陳述した。それは「たちあがれ日本」系が国会の方を仕切っていたときの維新だった。政策スタッフもバリバリの保守派の論客がそろっていた。そのあと維新は変質した。橋下が自分を出して私物化して、石原慎太郎を切り捨てて、地金において経済新自由主義をイデオロギーとする橋下が出てきた。

今度の維新の躍進はニッチ政党として伸びた。水が浸透圧で上に上がる感じで…隙間があったから、そこに行った。選択肢なきところに維新しかないと。石原慎太郎がいたときの維新のイメージを持っている人たちが外にはいっぱいいる。そういう人たちが、大阪の場合は保守層と言う人たちで、どんどん維新に入れる。大阪の自民党が全くダメだった過去があるから。社会党や共産党と合従連衡しているような政党だった。教科書の採択も進まないし、公立学校での君が代、国旗掲揚も日教組と部落解放同盟の力が強く、本来の自民党の主張ができなかった。

それが、橋下が府知事になったときに大阪の公立学校でみんなに日の丸が上がった。

自民党でできないことをやったと保守層が喜んだ。これは事実。自民から維新に鞍替えした人がたくさんいた。最近でも、講演で自分を呼んでくれた人たちの半分が維新の支持者。自主憲法の制定と男系男子、自虐史観は許せない、まともな歴史認識をしたい、そういう人たちが大阪の自民党を支持できなくなっていた。東京とはそこは大きく違う。しかし、維新は実は新自由主義経済なのだと言っても、それは置いといてとなる。そういう維新ではなくなったので、石原慎太郎と別れて維新が変質した。

今回の選挙でいえば、自民ではだらしない、それは新自由主義に行く、安倍内閣、菅内閣が継承したそれが果たして大丈夫かという不安を持っている人が多い。その隙間が全部、維新に吸収された。しかし、2012年のあのときほどは増えていない。あの時は本当に勢いがあった。9条改正が目の前に来ていた。橋下は稀代のトリックスター、今でも関わっていないようで隠然たる力。

「55年体制」が一般的だが、それは自民党と社会党という大きな左右の対立軸が生まれた時を指すもの。「60年体制」と言う言葉、55年体制はまだ対立していたが、60年安保が終ったあと、一気に対立から共存になった。自民党と社会党がそれぞれの持ち場を棲み分けして、漫然と共存する体制になり、自民党も結党目的の憲法改正ではなくなった。

それで64年の東京五輪を迎え、それ以降、一見対立しながら国体でなぁなぁで現状維持する体制になった。メディアもその欺瞞性に気付かなかった。

それを最後に象徴していたのが小沢と辻元だった。小沢は拉致問題でも金丸訪朝、捜査にストップかけ、金の延べ棒。細川を担いで、今度は日本新党とさきがけの連立の影武者、失われた平成の30年間そのものを創ったのが小沢。一緒にやったのが土井たか子と辻元。

・これからの日本の政治の方向は…

一つの時代が終わったということは、ものすごく大きな変動要素があることを意味する。増えた勢力をどのように自分たちの勢力と連携させていくかの勝負に入っていく。時代の変革期は必ずコロコロ変わる。幕末から明治にかけてもそう。大河ドラマの渋沢栄一もいろんな立場にいて、それぞれで実力を発揮した。今は百年に一度あるかないかの変革期。敗戦して76年経って変わらないわけがない。戦後体制が音を立てて崩れている。それが見えている人と見えていない人がいる。

橋下は何も考えていない、戦後体制が崩れている所に自分がいるとは思っていないが、そういう所にいる。だからトリックスター。旧態依然とした60年体制の戦後体制維持派の自民党左翼を陥没させるところに図らずも寄与している。国家観、歴史観をもっていないが、もっていると本物の英雄になる、橋下にそんなものまで持たれたら、独裁者になる。

2014年の維新の分裂はもったいなかった。それまでは、国家観があり、自民党を乗り超えられる政党になっていた。それは戦後体制を止揚する政治勢力だった。自民党は戦後体制維持派であり、かつての維新や次世代の党が「乗り超える派」であり、両者がぶつかってアウフヘーベンして、乗り越えられるものだった。民主党が本当はそれを担うべきだったが、枝野にもそんなベクトルはなく、自民党の対抗軸にもなれなかった。対抗軸になるには、戦後体制を覆すというヘクトルが必要。

・岸田政権の課題は…

「新しい資本主義」、口だけではなんとでもいえる、頭もいいでしょうから。問題は、その言葉にどれだけ命を吹き込めるか。それは実際に人事だったり、政策、法案、何を重点政策としてやっていくのかの打ち出しを、少なくとも安全保障、経済安保も含めて、外交、教育、学術会議の問題、孔子学院の問題、中共が開発したマッハ5の極超音速、それは日本の技術が国防大学に流れたものだという指摘もある。

そういうことを徹底的にやることをまず、どんと打ち出してほしい。経済的なデカップリングをどこまでやるのか。対中非難決議どうするか、真っ先に岸田内閣は答えねばならない。これらに答を出さずに「新しい資本主義」と言われても信用できない。今回、安定政権となったが、そもそも自民は親中派であり、維新もそこは危ない。どう防波堤を築き、杭を打っていくか。維新の松井さんはよくわからない。何を考えているのか。国家観がどこにあるのか。

・米国の状況と日本の安全保障環境にも触れると…

米国は相当ひどい。大変な問題。グラスゴーの開会スピーチでバイデンは20秒寝た。早速トランプが声明を出した。バージニア州知事選は重要な位置、それが来年の中間選挙に直接跳ね返る。国の芯が溶けていく。バイデンに対する誹謗中傷のスローガンが、今、米国で流行っている。8月下旬から、卑猥語を使って。それがメインになっている。危ない。アフガン問題が傷を残した。もう以前から内戦状態。トランプの前から。

トランプがSNSを新しく作ろうとしたら、ナスダックでその会社の株価が大幅上昇。それだけ市場が求めているということは、米国人が求めているということ。着々と準備が整っている。

中国が日本に核攻撃?

台湾を国家存立危機事態とみなすと麻生さんが明言したのは、菅政権の最大の功績。集団的自衛権を行使する、岸防衛大臣がそれは政府見解だとした。それを受けて、日本への核攻撃のユーチュープ、日本のメディアはそれを全く報道しない。極超音速もただのミサイルではない。開発に成功した。

英国のクイーンエリザベスが来て日本人もわかったと思うが、世界は今何を見ているか、焦点は東アジア。今回の総選挙で、今、東アジアが冷戦の最前線と言った人はいなかった。岸田総理は核廃絶を唱えているが、これはオバマも唱えていたもので、結局、オバマで核武装は強化された。

岸田氏は、そういう国際情勢を認識した政治をするのが第一の課題。安倍総理の時に外相を長く続けたが、やはり心もとない。今回伸びた維新がどれだけ安全保障に対する認識や歴史観を政党として出せるかにかかっている。維新がダメなら新しい政党で。

●松田学「【ニュースを斬る!】総選挙総括と今後の政治」 総選挙後の時点で収録
 ↓↓↓
関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

matsuda-manabu

Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

月別アーカイブ