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動画ろんだん@松田政策研究所⑰~(特集)新型肺炎を巡る議論

このところ毎日、ニュースのトップは新型肺炎。松田政策研究所チャンネルでは、この新型コロナウイルスをめぐり、多角的な観点から、各界さまざまな論客たちとの対談を次々と配信しています。そもそもこの感染症の特徴は何であり、どのような対策が必要なのかについては、パンデミックに詳しい藤和彦・経済産業研究所上席研究員や、テレビでも頻繁に解説をしている医師の上昌広先生に語ってもらいました。発生地の中国の状況については、評論家の宮崎正弘氏が衝撃的な中国崩壊を予測しています。習近平政権は今般の事態にどう対応し、何をめざしているのか、戦略科学者の中川コージ氏が意外な側面を指摘。日本の対応のあり方については、危機管理の観点や国際社会との関係で極めて問題が多く、著作家の宇山卓栄氏と情報戦略アナリストの山岡鉄秀氏が鋭い問題提起をしています。
以下、上記を配信の時間順に6本の対談動画をご紹介いたします。

●<対談> 藤和彦(経済産業省経済産業研究所上席研究員)「新型ウイルスと中東問題、パンデミックの可能性は?」
今般の新型コロナウィルスは未曽有のパンデミックになる…!もはや、公衆衛生や医療を超えた国家危機管理の問題。疫病の世界的流行が起きるのは、ウィルスの保持者が動きながらまき散らすからであり、今回のウィルスのように致死率が数%の場合です。
特に、新型コロナは子どもが感染しても発症せず、元気に動き回って親やおじいさんおばあさんに感染、男性の高齢者がとりわけ危険とのこと。感染者は指数関数的に増え、ピークは4~5月頃…、東京五輪は中止?
それにしても中国は困った国だと内心、感じている人は多いでしょう。危ないウィルスを扱う研究所が武漢にあり、そこから漏れた可能性があるようです。その研究所は安全管理上の問題がかねてから指摘されていたとのこと。そうなると、自然発生したウィルスよりも強く、当初の見込みは過小評価、感染症で大事な初動の対策を遅らせた?
李克強首相の対策チームが武漢を訪れましたが、中央宣伝部のプロパガンダの専門家ばかりとのこと。これは習近平の保身ではないか?さすがの共産党も事態に対応し切れておらず、流言飛語を抑える情報工作では?
藤さんは、1人1万円で感染の有無を判定できる検査キッドを、どれだけ費用がかかっても大量配布する対策が必要だとしています。今回のコロナの問題は無症状感染者の蔓延であり、医療現場で見分けがつかないこと。誰が感染者か、自分がそうなのか分からないことが、社会不安や、ややもすれば起こりかねない差別の原因になります。水際対策や手洗いの励行だけでは、国民を不安に追い込むだけかもしれません。
日本は公衆衛生の水準が高い国ですから、医療の世界に入れば強い。その前の社会のところでどうするかが課題です。周囲を海に囲まれた日本は疫病の経験があまりなく、パンデミックには不感症だと言われます。医療の前の総合的な危機管理こそが問われています。今回の事態で痛感されたのは、やはり、国家緊急事態が発令できない日本の根源的な弱さです。
経済も心配です。原油価格をみると、不安定な中東情勢と産油国の協調減産にも関わらず、コロナ騒ぎによる中国経済のストップ状態により、油価は逆に下がっています。これで中東全体で石油収入が減少し、サウジなどで経済危機が起こる可能性があります。
そうでなくても世界経済は過剰債務のハイレバレッジ、何をきっかけにリーマンショック以上の危機が起こるかわからない状態です。今度は「コロナショック」?でしょうか。


●<対談>宮崎正弘(評論家)「崩れ行く独裁国家!新型ウィルスがトリガーになるのか?」
情報統制と国民監視の全体主義大国も、さすがに今回の新型ウィルスにはかなわないようです。宮崎正弘氏によれば、習政権が最初に採った隠蔽策が今度は悪い方に出た…。口コミで広がった国民世論が抑えられなくなっているとのこと。同氏との対談、皆さまの関心も高く、視聴数がぐんぐん伸びています。
すでに、昨年拡大した香港デモを受け、中国社会でも底辺で香港支持の動きが広がり、習主席も事態を放置できない状態になっていたところに、このウィルス。かつてチェルノブイリのあと、ゴルバチョフのグラスノスチ(情報公開)を経て、数年後にソ連は崩壊しました。歴史は繰り返すかもしれません。現に、中央政治局常務委員会のなかに習の味方はおらず、権力機構のトップがガタガタしていることが末端にも伝わり、現場はサボタージュ。李克強首相が武漢を訪れたのは完全なパフォーマンスとのことですが、これで人気を高めた李首相は大喝采で、SNSでは4,000万回もの記録的なビュー、これは、「習、辞めろ」の声なのだそうです。
習主席も事態を認識しているそうで、いよいよやばい、しかし、どうしたら良いのかわからない。人民解放軍も習主席の号令一下で動くような状態ではないとのこと。
宮崎氏はいまの中国を、かつて清朝に対して革命軍が起こした共和革命である辛亥革命の前夜のような状態だとしています。
経済も心配です。いよいよチャイナリスクが現実のものに?
とりわけ中国から抜けられないでいる日本は、中国ドカーンで麻痺状態に…?


●<対談>宇山卓栄(著作家)「武漢新型肺炎、日本を蝕む中国依存症の恐怖」
中国からの外国人の入国全面拒否…米国も豪州も台湾もフィリピンも北朝鮮も、即時に講じた措置なのに、日本は湖北省など一部地域だけ、しかも対応が遅かった。なぜなのか。
松田政策研究所研究員で著作家の宇山卓栄氏は、そこには政治の闇があるのではないか…?日本政府の対応をめぐる緊急対談です。
当初から中国人を入国禁止すべきとの声があったが、なぜ、中国人入国禁止措置を迅速にとれなかったのか?政府の立場は、慎重に事態の推移を見極め…。慎重にならざるを得ない理由とは?
日本は中国への経済依存が強くなり過ぎて、春節の稼ぎ入れ時に、中国人入国禁止措置を取ると、その影響があまりにも大きくなる…。中国に忖度しているというよりはむしろ、中国と関わりの深い日本人に忖度しているというのが実態だった。
入国禁止措置を取れば、政治家も役人も商工会などから、突き上げを食らい、現場の不満を一身に浴びることになる…?国民の安全と生命が第一、これが本来の正しい姿ですが、日頃、支援を受けている政治家らにとって、それよりも優先せねばならない諸般の事情?
こうした構図は習主席の国賓招待でも同じ。批判があるにも関わらず、国賓招待したい勢力が日本の内部にある。日韓関係も同じ。内部から、本来あるべき政治を曲げていこうとする力、曲げざる得ない事情、これらの政治力学が複雑に絡み合う闇があるのでは、と疑われても仕方ない。
実際に発症している者でないと、なかなか外国人の入国禁止措置がとれない法的制約もあった。福岡市は福岡海上保安部と福岡出入国在留管理局に、拒否ができるか照会→回答「入港に関する法律は感染症を想定しておらず、指定感染症であっても患者以外の乗客の上陸までは拒めない」(1月30日)。これが当初の政府見解だった。
法の不備を補う形で、首相が31日に、湖北省の中国人を一括入国拒否。法的根拠がなくても政治決断でできる、ではなぜ最初からしなかったのか。
政府は1月28日、新型コロナウイルスによる肺炎について、感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令を閣議決定。検疫法第34条で停留隔離できるようになった。施行は2月7日とされていた、10日以上置かなければならない、それを政治決断で1日からとなった。
法的不備が明らかになった以上、法整備をしなければならない。やはり、非常事態法が必要。憲法に緊急事態条項を。日本の憲法にこれがないのは国際社会の中でみても普通ではない。
武漢からチャーター便第1便、2人が検査拒否。公益を守るために国民の権利を一時的に制限する「緊急事態条項」。政府に強制権限を付与すべき。
私(松田)がメルマガで書いているとおり、「予め法令に規定できないような想定外の緊急事態において、国民の命を守るため超法規的な措置を採るからこそ、国家が存在する意味があり、為政者に問われる重い責任がある。」。想定外の事態は予め、それがどんなものか分からないからこそ、各法律で整備することは困難。
日本政府でも、緊急事態に対する政府の初動対処体制は、内閣危機管理監をヘッドにした体制が整備されている。厚生労働省健康危機管理基本指針というプログラムがある。実際に、感染症関係で、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ等で、対応・指揮をとってきた実績がある。現状の枠組みでできることは十分にある。
問題はそれが十分稼働しなかったこと。それは政治の力が不十分だったから。システムを十分に機能させることのできる統括者の意思と判断、責任を負う覚悟、これが重要。
例えば米国の連邦緊急事態管理庁(FEMA)、ロシアの非常事態省のような危機管理に対応した超法規的な行政組織の創設も議論すべき。省庁横断的な、危機に機動的に対応出来る組織として構築すべき。
中国はWHOのテドロス事務局長(出身国のエチオピアは「一帯一路」の終着点の一つ)に圧力をかけたように、科学的事実よりも政治を重視する国。中国だけでなく、国連組織も我々は監視しなければならない。これは決して中立的ではない。性善説は通用しない。中国が常任理事国の組織であることを忘れてはならない。WHOにとどまらない問題がある。
…やはり、日本政府や為政者が国民の命や安全を最優先で考え、それを実行できる国であることが何よりも大事だということだと思います。


●<対談>上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)「上昌広先生に訊く!医学的見地から見る新型肺炎の現状」
日本政府も新型コロナウイルス対策の焦点を水際対策から国内対策へと切り替えましたが、どうも、これまでの対応は世界の非常識だったようです。最近、テレビなどメディアで引っ張りだこの医師、上昌広先生は、私が長年、ともに医療問題を議論してきた同志です。
今回、松田政策研究所チャンネルで専門家の立場から、この新型ウイルスとはそもそも何であり、本当はどう向き合うべきものなのかを、じっくりと語ってもらいました。
目からウロコですので、ぜひ、ご覧ください。
感染者や死者の数字からニュースが始まるこの頃ですが、エドガー・アラン・ポーの「赤死病の仮面」という短編小説をご存知でしょうか。この、あっと言う間に人々が感染して次々と死んでいく疫病を恐れるが如く、日本が採っている隔離政策…、世界のプロたちの常識とは乖離しているようです。
クルーズ船への対応など物笑いの対象。専門家の冷静な見方によれば、健康な人は新型コロナウイルスを恐れる必要はないとのこと。


●<対談>中川コージ(戦略科学者)「着地は見えた!5権分立1統制とは?月刊戦略論的〇〇最新情報」
チェルノブイリの5年後にソ連が崩壊したように、今回の新型ウィルスは中国のレジーム崩壊のきっかけになるとみる保守論客は多いですが、もしかしたら、これも願望と現実を混同する議論か?逆に、習近平政権が中央集権をさらに強化する契機になるかもしれない…、リアリズムを重視する松田政策研究所では、研究員で戦略科学者の中川コージ氏の見方を発信しました。したたかな中国共産党は何を考えているのか…。
どうも実態は…、今回の感染病対策では、習自身がトップに立っておらず、疫病の責任をなすりつけるためのリスクヘッジが随所で行われている。武漢への派遣チームのトップグループの中には、疫学・衛生担当はたった1人、人民の思想統制担当、メディア統制の担当者、王毅外相(対外的発信)などが中心だった。これは、疫病対策ではなく、疫病世論対策チームだったといってよく、このことが示すように、今般の事態に中国は政治的に動いているのであり、これが中国の大きな姿勢。政治のプロセスに入っている。
隠蔽自体はあった。共産党に責任があったと認めた。それは党として少しミスってしまったという意味。ポイントは党としてのミスであって、習のミスではないということ。そこでは責任の所在は示しておらず、下になすりつける布石であった。党の中のガバナンスの問題にした。300~400人が処分の対象となっているが、最高指導部ではなく、中間管理職が悪かったという構造をつくりつつある。
情報が中央に上がっていなかったのは確かであり、その原因は、近年、習政権による統制がきつくなっていること。選択肢は2つ。胡錦涛時代のような言論の自由に戻すか、監察の強化か。情報が上がっていなかったことを大義名分として、監察体制を強化する。
中国共産党は9,000万人の巨大組織。そうであるがゆえに、これまでも中国は、問題が起こると巨大組織ゆえ失敗するが、マイナスをプラスにする芸当をする国。一層の中央集権化、指導部がコントロールを強める方向ではないか。日本としては、崩壊シナリオよりも、悪い方のシナリオを想定したほうがよい。
最初は隠蔽したが、SNSで国民も海外も気付くことになる。そこで、だんだんと正確性の高い数字にもっていくだろう。中国の情報は通常のケースは信頼性が低いが、本件には世界から色々な目が入っているから、ウソをつくのは得策でないとの判断で、正確な数字に近づけていくだろう。
政治的プロセスとしては、責任者に罪をなすりつけ、最後は監察機関の強化で着地する。ただし、実際に生産活動を再開してみて、サプライチェーンが本当に破壊されていたとなると、経済が本当にとまることになる。そのときが習近平の危機だろう。
ただ、国民の不満が高まると出てくるのが長老である。大衆の不満で共産党自体が危ないとなると、トップに引導を渡す動きになる国である。革命ではなく、引退という話になろう。党よりも習個人の円満な引退へ…。
「5権分立1統制」…司法と立法と行政が一体+軍とメディア。これらを党が統括する体制。政治的には方向性がみえてきた。英雄も決まり、悪い人も決まり、習は安泰。サプライチェーンが分断されなければ、習の総取りで終わる。
…もし、こういう結果になるなら、国際秩序はますます、中国デカップリングへと動くのではないでしょうか。中国共産党が隠蔽体質で事態を悪化させているのは対岸の火事ではないかもしれません。最近の安倍政権も、どうも、隠蔽体質で墓穴を掘っているような…。あるいは、今回の新型肺炎対策が後手後手に回ったことで日本が予想以上の感染国になっていくなら、こちらが安倍政権の首を絞めることになるのか…。あまり考えたくないことです。


●<対談>山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)「偏差値教育の弊害!有事の意思決定こそ国家の役割と心得よ」
日本は今回の新型肺炎で世界からの信頼を失ってしまいかねない。東京オリパラの開催国としての自覚はあるのか。どうも、危機管理の基本が踏まえられていないようです。
国際情報戦の専門家で松田政策研究所と提携関係にある山岡鉄秀氏と緊急対談をいたしました。
今回のウイルスでクリティカルなのは、感染していても潜伏期間の間にうつしてしまうこと。陽性になっても症状が出ない。そこは未知の新しい領域。それがあるからいわゆる水際対策では役に立たない。そこで米豪ともシンガポールもNZも元から攻めないとだめだということで、日本が2月1日にとった同じ日に豪州は全部止めた。離陸した飛行機もダメ。春節で帰っていた留学生もダメ。結婚した夫婦ですら離れ離れ。でも、豪州政府はしょうがないでしょ、と。弁償の対象でもない。そこまで徹底してやった。
現在も多数の中国人が日本に入国している姿は、国際社会のなかで突出…。日本は五輪のホスト国であるならば、どの国よりも厳しく、迅速に対応できる姿を、今回、世界に示すチャンスだった、できることは何でもやる決意を示すべき局面だった…。
ところが、日本はどんどん感染者を増やし、中国と同じだ、あのクルーズ船の対応もおかしかった、中国の外では最も感染者が多い国なのに、未だに限定的な規制しかしていない、中国本土は70都市を閉鎖しているのに、日本は門戸を開いている、中国人が日本にはたくさんいる、ならば、日本に行くのはやめよう…。
すでにそんな見方が海外では出ているようです。中国と同列の汚染国というイメージを持たれることのマイナスは、計り知れないでしょう。中国人からのインバウンド消費と引き替えに、世界からのインバウントを失い、もっと大きなものを失ってしまう…。
こうした懸念を表明した上で、山岡氏は偏差値教育の弊害を指摘しています。
受験で育った頭の良い人は、条件反射的に正解を探します。マークシートならどこかに答えがあります。今回のウイルスは未知の新しい領域。国家の危機管理に答はありません。明確なのは、「わからない」ということです。どんな論文や分析も、限られた情報とサンプルでしか考えていません。平時ならOKですが、何が起こるかわからない有事の発想が日本には欠如していた。
そのときは、根本から対策を講じるべき。塞ぐものは塞ぐ、止めるものは止める、タイムラグがあっても、それでもやる。効果の評価はあとで検証する。効果のあるなしの議論ではない…。アクションファーストで、その後は走りながら考える対応が必要。
…そもそも国家は、こういうときに総合的な判断で決断するために存在するものではないでしょうか。国際的にみるとどうか、ロングタームでは、といった総合的な判断が抜けています。やはり、内閣が超法規的な措置をとっても免責となる仕組みやコンセンサスが必要だと思います。もちろん、為政者が決断するのが基本。批判されてもやり抜く鍛錬ができている人が政界には必要でしょう。
世界を俯瞰してマクロで考える。為政者に必要な見識です。

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プロフィール

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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。