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【ご紹介】「2020年に問われる日本の選択」と「政府暗号通貨(松田プラン)」~新春号2誌での発信

雑誌の世界では新春号の時期ですが、2誌の1月号に、私、松田学の政策論が掲載されています。
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Ⅰ.「先見経済」誌 本年1月号、巻頭の特集
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「2020年に問われる日本の選択~世界の新潮流と『日本新秩序』~」
…日本が令和の新時代を迎えた昨年に続く今年は、令和時代の「新しい国づくり」の中身がいよいよ問われる年になる。では、令和時代に日本はどんな国をめざすのか、若干の素描を試みてみたい。…以下、小見出しです。

●世界の潮流の大転換とブロックチェーン革命
●いまこそ政府暗号通貨「松田プラン」と「みらいのお金」を
●朝鮮半島情勢と中国に日本はどう向き合うか
●サイバー時代の安全保障と憲法改正
●分断される世界をつなぐ「日本新秩序」を
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私が寄稿した文章をそのまま後掲します。

Ⅱ.THEMIS(月刊テーミス)創刊28年新年号
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「政府暗号通貨(松田プラン)」
私がかねてから提唱してきた「松田プラン」も、中国によるデジタル人民元発行が現実味を帯びるに至り、いよいよリアリティある政策論として受け容れられやすくなってきたと思います。リブラの動きとも相まって、各国通貨当局も通貨システムの改革に向けて安穏としてはいられなくなっているなか、日本はどうするのか。

情報技術の発展で、お金の概念が大変革に向かっています。経済的価値だけでなく、スマートコントラクトによってさまざまな機能を内装した新たな通貨…まさに情報機能としての貨幣の本領が発揮され、経済や社会の仕組みを大きく変えるときが来ています。

そのなかで私は、ブロックチェーンを中央集権的に運営する形で法定通貨として政府が発行する暗号通貨と、ブロックチェーンの分散型の特性を活かして、さまざまな多様な価値を人々が支え合う「みらいのお金」の2つの側面から、「新しい国づくり」の基盤形成を提案してまいりました。

そのうち前者の「政府暗号通貨(松田プラン)」がテーミス誌の1月号で、ごく簡単に紹介されました。「米国『リブラ』vs『デジタル人民元』激突追う~日本も遂に『仮想通貨』へ参入か~」との題名の記事のなかの最後の部分です。
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「政府暗号通貨(松田プラン)」の記述部分↓
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これは、デジタル人民元を切り口に仮想通貨について受けた取材の際に、私が日本の対応として持論を述べたところ、同誌が強い関心を示したことによるものです。
「日本にも『政府暗号通貨』構想」として、あたかも日本がこれを現実に検討しているかのような記事になっていますが、まだまだ、これからです。
今後、この「松田プラン」の浸透に向けて本格的に取り組んでまいります。

【ご参考】先見経済掲載記事全文
2020年に問われる日本の選択~世界の新潮流と「日本新秩序」~
日本が令和の新時代を迎えた昨年に続く今年は、令和時代の「新しい国づくり」の中身がいよいよ問われる年になる。では、令和時代に日本はどんな国をめざすのか、若干の素描を試みてみたい。

●世界の潮流の大転換とブロックチェーン革命

まず、令和の前の平成時代の30年をふり返ってみると、それはマルタ会談やベルリンの壁が崩壊して東西冷戦が終結した1989年から始まり、世界的に、①グローバリゼーション、②インターネット革命、③金融主導の3つの潮流に特徴づけられる30年だった。90年代には米国が世界の資金循環センターとして君臨し、2000年代に入ると、今度はオープン、グローバルの枠組みのもとで中国が著しく台頭。先進国では格差が拡大し、中間層が崩壊、移民問題も相まって強まるポピュリズムを前に、民主主義の危機まで叫ばれるに至った。

そして、①は世界の米中分断ブロック化へ、②はブロックチェーン革命へ、③は電子データ主導へと、逆転あるいは転換する中で、日本は令和時代を迎えることとなった。

かつて、世界の戦略分野は石油や食料、あるいは金融だったが、今や経済の最大の付加価値の源泉は電子データとなっている。これを支配するのが米国勢のGAFAと中国BAT(バイデュ、アリババ、テンセント)といったプラットフォーマーたちであり、前者が自由経済と個人情報保護、後者が国家主導でのデータ管理というパラダイムの根本的な違いから、世界には、主権国家vsプラットフォーマーvs中国勢という三つ巴の対立構造が生じている。

この中で、プラットフォーマーが存在しない日本は、何をするにしても寺銭を取られるのみの存在になりかねない。その日本が国際社会の中で経済面で一定のポジションを得る道を考えるとすれば、それは、未だ黎明期にあるがゆえにチャンスと捉えるべきブロックチェーン技術であろう。その社会の各分野の課題解決への実装に先手を打つことで、それぞれの分野の特性に合った技術やシステムのイノベーションを起こし、そこから世界の課題解決プラットフォームを次々と構築していくというのが、日本の採るべき道ではないか。

この点では、「課題先進国」といわれて久しい日本には、質の高い産業や情報の蓄積、工学力や現場力、個々の日本人が広く具有する創意工夫の力といった強みもある。ブロックチェーンの論理を応用することで、新たな社会モデルで世界の範となる日本らしい「自立」と「合意」と「和」の仕組みを創出する国になることが十分に考えられるのである。

●いまこそ政府暗号通貨「松田プラン」と「みらいのお金」を
ブロックチェーンの社会実装で実現するのが、利便性の高い「トークンエコノミー」だ。これは経済活性化や地方創生のみならず、国家システムをも変革する新しい潮流となろう。

今年は中国がデジタル人民元の発行を始める年になるかもしれない。これがいずれ、米ドル基軸通貨を脅かす可能性が十分にある。その利便性に惹かれて日本人もデジタル人民元をペイペイの如く使用することとなれば、我々の個人情報は中国政府が管理するビッグデータのもとに置かれることになろう。

他方で、今年はリブラの動きが既存の通貨システムにも大きな変革を迫る年になる。暗号通貨の間で世界の覇権争いが生じることが考えられる。

筆者は、政府暗号通貨の発行を含む「松田プラン」を提唱してきたが、上記を踏まえれば、その実施をそろそろ真剣に検討すべき局面になったと考える。これはアベノミクスのもと、国債発行残高の半分にまで至った日銀保有の国債を、政府発行の法定暗号通貨によって償還し、これを民間の求めに応じて流通させる案である。これまで累増してきた赤字国債が、情報技術を内装した利便性の高いお金に変換されることになる。

社会の高齢化で先進国最悪となった日本の財政は、もはや経済成長や歳出削減や増税といったフローの対策では再建不可能だ。政府と日銀を連結して「統合政府」で捉えるバランスシート処理にしか答えはない。最先端の情報技術は財政にも新局面を拓くことになる。

こうして自国通貨を守りつつ財政を健全化し、持続可能な社会を創ると同時に、民間主導で従来の競争型資本主義とはひと味異なる「協働型コモンズ」を創出するのも、日本が採るべき道だろう。そのカギとなるのが、これも筆者が提唱する「みらいのお金」である。

これはユーティリティトークンと呼ばれる新しい暗号通貨であり、各人が実現したい価値をそれに共鳴する人々が支え合う社会の建設は、日本人の国民性にも合う営みである。市場経済では実現しないような価値や人々の生き甲斐を、これに共鳴する人々の「いいね」が実現する。今後、AI革命や社会の超高齢化で、産業社会での居場所を失う大きな人口の塊が出現するだろう。これは、その受け皿となるもう一つの社会の創造である。

●朝鮮半島情勢と中国に日本はどう向き合うか
以上を通じて、米中両大国の狭間にあっても日本が独自の存在を築ける道を追求することが何よりも重要である。これを前提に、以下、国際情勢や日本の外交を展望してみたい。

まず、昨年悪化した日韓関係であるが、ここから得られた教訓は、韓国のためにも、日本としては「法の支配」の原理原則を貫き、安易な妥協はすべきでないということだろう。

金一族を崇拝するチュチェ思想派とも言われる文在寅政権のもとで、今後の一つのシナリオとして考えられるのは、北朝鮮主導での南北統一である。そこで誕生する統一朝鮮が民族的なアイデンティティを希求し、歴史的に朝鮮半島を虐げてきた中国と対峙する勢力となれば、日本にとっての防衛ラインは38度線から鴨緑江に後退するかもしれない。

あえて楽観ケースを考えれば、米朝ディールが奏功して北朝鮮が親米国家化し、日本が経済援助で実現する北朝鮮のインフラ投資からの特需を享受することになる可能性もある。ただ、北が中短距離の核ミサイルを廃棄する可能性はゼロに近いと考えておくべきだろう。

加えて、南北統一なきまま、韓国が中国「華夷秩序」に編入され、韓国が自由主義と米韓同盟の韓国ではなくなる事態が、もう一つのシナリオだ。日本にとってのフロントは38度線から対馬海峡へと近づく。日本の国防はこちらの方の最悪の事態に備えるべきだろう。

ただ、日本も世界も、最大の難題は、最先端の情報技術で覇権を狙う中国にどう向き合うかである。電子データを国家が自由に使えるだけで、経済面での付加価値競争で自由主義圏は勝負にならない。すでに中国は「ハイブリッド戦」を仕掛けており、その対象は相手国の世論や人間の意識にまで及ぶ。米国は中国の情報技術覇権を抑え込むため、政体レジームの変更に至るまで容赦ない米中新冷戦を続けるだろう。サプライチェーンの世界的な分断が進み、米国か中国かのいずれを採るかの究極の踏み絵を世界各国が踏まされていく中で、日本の経済界も中国との依存関係を断ち切る覚悟が迫られていくと予想される。

外交面でも日本は、「インド太平洋構想」のもと、地政学的な観点から、中国などの大陸国家軸(ランドパワー)に対抗する海洋国家軸(シーパワー)の形成を、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア…インドとの間で、米国とともに進めていくべきだろう。

●サイバー時代の安全保障と憲法改正
安全保障面でも、情報技術の研究開発投資に桁外れの国家資金を投入する中国に少しでも対抗すべく、政府主導での取組みの強化が不可欠である。そのためには、国債発行をトンカチ公共事業に限定する財政法4条を改正し、広く知的財産などの無形資産をもバランスシートの資産として裏付ける投資国債を発行可能にする財政改革が喫緊の課題となる。

近年、軍事的な安全保障の概念も大きく変化した。これまでの陸、海、空から、サイバー空間や宇宙へと、その領域は拡大している。しかし、日本はサイバー攻撃に対してあまりに脆弱な状況にある。筆者は、情報技術の急速な進歩が人類社会にもたらす「第4の波」を提起してきた。これは、農業革命、工業革命、情報革命(トフラーの「第3の波」)に続く「人間(生体)革命」である。人間の頭脳や肉体そのものが無数のデバイスでネットやAIとつながることで、人間自体が進化する時代が訪れようとしているのである。

ここでの最大の課題は、未だデータの盗取、改ざん、なりすまし攻撃に対して完全な防御が確立していない電脳空間のセキュリティを、完成に近づけることだ。5Gで実現するIoT(モノのインターネット)から、今度はIoH(人間のインターネット)の時代となれば、サイバー攻撃が人間の意識を狂わし、人命に直接的な脅威を与えることにもなる。

その意味での「人間の安全保障」とともに、サイバー攻撃に対する国防を考えたとき、日本の大きなネックは、現行憲法の「専守防衛」にある。サイバーセキュリティの要諦は「攻撃は最大の防御なり」。そのために不可欠な「ディフェンディング・フォーワード」(平時から敵のサイバー空間に侵入して予兆をつかむ)が、専守防衛のもとでは行使できない。

時代の変化に即して変えられる憲法にしておくのは、現世代の次世代に対する責務である。サイバーに限らず、そもそも国防に不可欠なのは防御と攻撃をバランスよく機能させることだ。国会での改憲論議は昨年から今年へと持ち越されたが、専守防衛自体を見直さずに、9条に「自衛隊を置く」だけの改正にとどまるようでは、問題解決にはならない。

ただ、自衛隊を明記する改憲をしておくことに意味がないわけではない。自衛隊はすでに国民に定着し、改憲の必要はないとの声も強いが、「法の支配」を国是とすべき日本国の基本ルールたる現行憲法は、9条2項で交戦権を明確に否認している。条文を素直に読めば、自衛のための武力行使もできないのが日本である。これまでの政府の憲法解釈は、憲法前文の平和的生存権や同13条の幸福追求権を援用することで、何とか自衛隊の合憲性を導き出しているが、理屈に理屈を重ね、無理をした曖昧な解釈だ。

韓国に対してルールの尊重を説く立場の日本国であるならば、自衛隊を憲法に明記することによって、自衛権の行使を解釈の余地のない明確なルールのもとで宣明できる国になる必要がある。日本は実際には武力行使をしないだろうと、韓国から足元を見られていることが、日韓関係悪化の背景にあることを忘れてはならない。

●分断される世界をつなぐ「日本新秩序」を
さて、昨年はベルリンの壁崩壊後30年の年だったが、現在の世界には新たな「壁」が次々と誕生している。移民難民を阻止する「欧州の壁」、メキシコ国境の壁、そして米中分断の壁…。世界が単一化する流れが逆転し、国家や民族のアイデンティティ・ポリティクスが台頭する中にあって日本に問われるのは、自国のアイデンティティ意識を取り戻し、独立自尊の基盤を物心ともに強固なものにすることではないか。

それは自国の独自性に価値に見出す営みを通じて得られるものだとすれば、自らが世界で唯一、万世一系の皇統を営む皇室のもとにまとまる国民であること自体を大事に思う国民であってほしいものである。それは日本人の大事な精神的基盤になるだろう。

同時に、日本が古来、鎖国の時代にあっても、世界から異質の要素を取り入れて日本独自のものに仕立て上げる創造性に満ちた国であることも忘れてはならない。世界の分断化が進む時代であればこそ、日本は、さまざまな分野で日本ならでは課題解決モデルを構築し、人類共通の課題解決に向けて世界に独自の価値を生み出す国になることをめざす。「日本新秩序」をもって世界のソリューションモデルを先導する、そんな「新しい国づくり」に向けて、今年こそは日本が本格的な歩みを始める年になることを祈るものである。

 
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プロフィール

matsuda-manabu

Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。