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動画ろんだん@松田政策研究所⑭~(特集)皇位継承問題をどう考えるか~

昨年の令和元年に天皇陛下が即位され、関連して執り行われた一連の行事が国の内外から広く注目されました。これことを通じて、日本は万世一系の皇室のもとに国民がまとまる世界唯一の国であることを、私たち日本人自身があらためて認識することになったと思います。そして、これを契機に、巷でも皇位継承問題がさまざまに議論されるようになっています。

今回の「動画ろんだん」では、この議論について、著作家で松田政策研究所の研究員でもある宇山卓栄さんが、歴史的かつ国際的な視点から詳細に整理した対談3本に加え、歴史家で徳島文理大学教授の八幡和郎先生が、では、現実にどうしていけばよいかについても触れながら、この問題を考える視角を提起した対談を、ご紹介します。20200102_1
●皇位継承問題を論じるに当たって
宇山氏によれば、欧州各国の王室では、万世一系の王位男子継承がほとんどの国で崩れてきましたが、歴史的にみれば、それによってさまざまな混乱が起こってきたことを史実が物語っているようです。
他方で、伝統を守ることが大切だとしても、日本の皇室については安定的な皇位継承のあり方をどうするかという現実的な問題が長年にわたり、提起されてきたのも事実です。
下図の宇山氏作成の資料によれば、今年の春頃の時点での世論調査では、女系天皇や女性天皇について、国民の概ね65%~80%程度が賛成しているとの結果が出ているようです。
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ただ、一連の対談を通じて感じられたのは、この問題を考えるに当たっては、少なくとも次の3点を踏まえる必要があるのではないかということです。
第一に、女系天皇と女性天皇とは全く異なる概念だということです。
「女系」とは、男系の子孫ではないということであり、神武天皇以来、「男系」が続けられてきたなかで、推古天皇のような「女帝」が誕生してきた事例はいくつもあります。ちなみに、126代の内、女性天皇は10代8人でした。しかし、過去の女性天皇は全て男系女子であって、女系男子や女系女子が天皇になった例はないとされます。
「女系」と「女性」の区別がわからないままに世論調査に回答したり、賛否を表明している国民も多いようです。
第二に、現在の皇室典範では、皇位継承権は男系男子にのみに限られるとされており、継承「権」と表現していることから、皇位の継承があたかも「権利」であるかのような誤解を招く一因にもなっているということです。
皇室の血をひく竹田恒泰氏が、かつて、松田政策研究所のチャンネルで、次のように述べていたことを指摘しておきたいと思います。
…天皇陛下になるというのは「権利」ではなく「義務」である。さまざまな祭祀や行事の遂行はそれ自体、大変な労力を伴う負担であり、天皇陛下にはプライバシーも人権もない。普通の人間が簡単に担えるものではない。国民に兵役の義務がある国でも、女性は兵役免除という事例は数多い。そのように考えていただくべきものである。…
もちろん、女性だからこうした重い義務を担えないと言うのは、適切ではないでしょう。ただ、現在は「男女平等」の世の中であり、「男女同権」であるべきだ、という文脈で皇位継承問題を論じるのは、少し筋が異なるような気がします。少なくとも、制度的に誰にでも開かれているべき総理大臣の椅子や、社長や総裁などの地位への選任と、皇位の継承とを、混同すべきではないでしょう。そもそも、皇統という正当性が求められるお立場ですから、男性であれ女性であれ、誰にでも開かれているものではありません。
第三に、万世一系にせよ、女系にせよ、女性天皇にせよ、憲法でも規定されている国民統合の象徴として、国民の多くが、その権威の正当性について納得するかたちで皇位が継承されていかなければならないということです。

●伝統を守る国家意識の大切さ~失われた「大蔵省」~
さて、ここで元財務官僚の筆者として、少し脱線しますが、あえてコメントしておきたいことがあります。それは、私たち日本人がGHQの占領下、国家意識の希薄化を含めた洗脳をさまざまに受けるようになって以降、いわゆる戦後レジームのもとで、歴史的に連綿と続いてきた伝統を保守することの大切さを忘れてしまっていないかということです。
これを見事に提起したのが、大蔵省の名称変更問題だったのではないかと、筆者はかねてから考えてきました。
いまや財務省という呼び名はすっかり国民に定着しましたが、それは2001年の省庁再編に合わせて、大蔵省からの改名を、ときの政権から命じられたものでした。
当時、現役の「大蔵官僚」だった筆者は、雄略天皇の御世から1,400年も続いてきた伝統ある、官庁名としては漢語ではなく、唯一の「やまと言葉」の名称を、いとも簡単に、あたかも米国の財務省の支店であるかのような名称に変更となることに対して、国民の側から真摯な反対論が盛り上がらなかったことを大変奇異に感じていました。
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ただ、一連の対談を通じて感じられたのは、この問題を考えるに当たっては、少なくとも次の3点を踏まえる必要があるのではないかということです。
第一に、女系天皇と女性天皇とは全く異なる概念だということです。
「女系」とは、男系の子孫ではないということであり、神武天皇以来、「男系」が続けられてきたなかで、推古天皇のような「女帝」が誕生してきた事例はいくつもあります。ちなみに、126代の内、女性天皇は10代8人でした。しかし、過去の女性天皇は全て男系女子であって、女系男子や女系女子が天皇になった例はないとされます。
「女系」と「女性」の区別がわからないままに世論調査に回答したり、賛否を表明している国民も多いようです。
第二に、現在の皇室典範では、皇位継承権は男系男子にのみに限られるとされており、継承「権」と表現していることから、皇位の継承があたかも「権利」であるかのような誤解を招く一因にもなっているということです。
皇室の血をひく竹田恒泰氏が、かつて、松田政策研究所のチャンネルで、次のように述べていたことを指摘しておきたいと思います。
…天皇陛下になるというのは「権利」ではなく「義務」である。さまざまな祭祀や行事の遂行はそれ自体、大変な労力を伴う負担であり、天皇陛下にはプライバシーも人権もない。普通の人間が簡単に担えるものではない。国民に兵役の義務がある国でも、女性は兵役免除という事例は数多い。そのように考えていただくべきものである。…
もちろん、女性だからこうした重い義務を担えないと言うのは、適切ではないでしょう。ただ、現在は「男女平等」の世の中であり、「男女同権」であるべきだ、という文脈で皇位継承問題を論じるのは、少し筋が異なるような気がします。少なくとも、制度的に誰にでも開かれているべき総理大臣の椅子や、社長や総裁などの地位への選任と、皇位の継承とを、混同すべきではないでしょう。そもそも、皇統という正当性が求められるお立場ですから、男性であれ女性であれ、誰にでも開かれているものではありません。
第三に、万世一系にせよ、女系にせよ、女性天皇にせよ、憲法でも規定されている国民統合の象徴として、国民の多くが、その権威の正当性について納得するかたちで皇位が継承されていかなければならないということです

●伝統を守る国家意識の大切さ~失われた「大蔵省」~
さて、ここで元財務官僚の筆者として、少し脱線しますが、あえてコメントしておきたいことがあります。それは、私たち日本人がGHQの占領下、国家意識の希薄化を含めた洗脳をさまざまに受けるようになって以降、いわゆる戦後レジームのもとで、歴史的に連綿と続いてきた伝統を保守することの大切さを忘れてしまっていないかということです。
これを見事に提起したのが、大蔵省の名称変更問題だったのではないかと、筆者はかねてから考えてきました。
いまや財務省という呼び名はすっかり国民に定着しましたが、それは2001年の省庁再編に合わせて、大蔵省からの改名を、ときの政権から命じられたものでした。
当時、現役の「大蔵官僚」だった筆者は、雄略天皇の御世から1,400年も続いてきた伝統ある、官庁名としては漢語ではなく、唯一の「やまと言葉」の名称を、いとも簡単に、あたかも米国の財務省の支店であるかのような名称に変更となることに対して、国民の側から真摯な反対論が盛り上がらなかったことを大変奇異に感じていました。

【2】皇位継承問題と世界王室 シリーズ2 「男系継承と女系継承」 なぜ、イギリスで女系継承が認められているのか? イギリス王室の事例に学ぶ

【3】皇位継承問題と世界王室 シリーズ3 「男系継承を維持するためにはどうすべきか?」 フランス王室の事例に学ぶ

●八幡和郎(令和元年10月29日配信)
 即位の礼、その歴史的経緯と皇室の今後
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プロフィール

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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。