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韓国に対する貿易管理措置をめぐる論点~いずれは北主導の南北統一か「米朝同盟」?か~松田学の論考

参院選の真っ最中に日韓関係がヒートアップしていますが、今回の日本の貿易管理措置に関して、松田政策研究所では、西岡力・麗澤大学客員教授と経済評論家の渡邉哲也氏との対談動画を発信しました(後掲)。
以下、彼ら論客の見方を紹介しながら、松田学が論考を加えます。この問題を突き詰めていくと、日本には朝鮮半島秩序の大変動に対する備えが迫られていることが浮かび上がってきます。

●日本は安全保障上の国際的責務を果たしているに過ぎない
まず、韓国に対する3品目に関する今回の日本側の措置についてですが、それ自体は、WTO違反に問われるような貿易制限措置ではなく、核兵器やサリンなどに使われ得る素材に対する輸出管理という安全保障上の措置です。今回の措置の対象3品目は、例えばフッ化水素が濃縮ウランや神経ガス(金正男殺害にも使用)にも使われているように、大量破壊兵器に転用可能な用途に使用されている可能性があるもの。
日本企業が韓国で保有する資産の売却で損失が生じたときに採られるのが徴用工問題に対する制裁ですから、今回は関係ありません。ただ、これを含め、本件に関しても韓国が誠意ある対応を示さなかったことが、輸出管理の徹底の上で韓国を信頼できなくなった理由。

もともと、武器転用が可能な物資の輸出を規制するものとして、かつてのCOCOMに代わるワッセナー・アレンジメントという国際協定があります。日本独自の措置の形をとってはいますが、これは国際協定の一部です。日本は特にリスクが高い3品目に対して先行的に規制しましたが、韓国にとって運が悪かったのは、それらがたまたま半導体に使われる物資であること。日本は対アジアでは唯一、韓国をホワイト国に指定し、個別審査を省略していました。ちなみに、欧州はどの国もホワイト国には指定していないようです。
日本は韓国に対して8月中旬には、こうした優遇措置を外すことになり、100品目以上について管理が厳しくなります。自動車など他の産業にも影響し、極論すれば、韓国の工業生産が止まるかもしれないとも言われています。これは韓国経済がいかに日本に依存しているかを示すものですが、その日本を悪し様に喧伝する韓国は、ただの駄々っ子、自国の国益もわからない自殺国家なのかと心配してしまいます。

とりあえず今回の措置で7月から3品目の輸出が止まると、最終的には許可されるとしても90日程度を要します。これら3品目は、長い間、安定した状態を保てず、1か月程度しかもたない生鮮品のような物質であり、トヨタのような看板方式を採るサムソンなどでは在庫も少なく、韓国側は窮地に陥ることになります。しかも、本件は基本は原則不許可で運用されている経済産業省本省扱い。この先どうするかは日本政府の判断次第です。

一部に、韓国が調達先を振り替えることで日本は市場を失うとの懸念がありますが、もし代替可能なら、とうの昔にそうしているというのが渡邉氏の見方。韓国は自業自得です。
半導体生産の大半を担う韓国での生産ストップが世界に与える影響を懸念する向きもありますが、現在、半導体はDRAMの価格が大幅に低下しているように、世界的にダブついていることから、流通面では大きな影響がないというのが渡邉氏の見方です。
国際的な責務を果たすための今回の日本が、米国などと事前調整抜きに行われることも考えにくいことです。米国からみても、日米同盟、米韓同盟の関係から、日本と韓国は半同盟国。その韓国軍が日本の自衛隊機にレーダー照射をするなど由々しき事態でしょう。

●韓国の命運を握っているのは日本
西岡氏によれば、韓国側(保守派)から明らかになったのは、こうした安全保障上の懸念のある規制対象物質が違法に韓国から輸出されており、その摘発量が文在寅政権になってから、相当規模で増えていることです。

では、なぜ、文政権のもとでこのようなことが起こるのか。西岡氏の見方では、現在の韓国政権は、かつての金日成を支持し、北朝鮮主導での南北統一を目指した「主体思想派」から転向していない人々が主導する左派政権。韓国から流れた違法物質が北朝鮮やイラン?などに流れた可能性は否定できない…。

もし、そうだとしたら、それを日本が幇助することになるわけにはいきません。摘発が増えているのは厳正なチェックによるものだというのが韓国政府の言い分のようですが、万一、こうした不正輸出に韓国政府が関わっていたとすれば、日本は国連の安保理決議違反として韓国を提訴すべきかもしれません。国連側でも、韓国が制裁を破っているのではないかとのレポートを出しているようです。

さて、こうした自国を自ら追い詰めている韓国ですが、今後、その命運を握っているのは日本であることを、日本国民自身がもっと知っておいたほうが良いと思います。それは日本の世論を動かし、日韓の力関係を変えるかもしれません。

まず、徴用工問題で日本企業に損失を与えられた場合の制裁ですが、2017年の外替法の改正で、日本は独自の判断で(安保理決議等を要さずに)、特定国向けに送金停止措置が採れるようになっています。渡邉氏は、「すでにFRBは、韓国の銀行のNY支店に呼び出しを掛け、北朝鮮関連の取引に対して、警告を発した。これにより、ドルのコルレス直接取引は凍結状態、韓国は米銀や邦銀を挟む形で送金している。このまま関係悪化すれば、通貨危機になりかねない。」と、Twitterで述べています。

そもそも韓国は造船などの関係で多額の不良債権を抱え、信用力がなく、邦銀が信用枠を設定してきたもの。これが止まると、韓国は通貨危機に陥るかもしれません。かつてのアジア通貨危機を受けて、現在はチェンマイ・イニシアチブで150億ドルの資金融通が可能になっていますが、これを超える額は日本の賛同が必要。最後の砦はIMFですが、ここも米国と日本が拒否すれば、資金は出ません。韓国はベネズエラ化するか…?食料自給率が20%の韓国は存亡の危機に立たされる可能性があります。
自国をこんな状況に追い込んだ文在寅政権、支持率は低下しているとはいえ、50%程度もあるようです。大統領選の前に、来年春には総選挙がありますが、西岡氏によると、保守系が伸びないよう、文政権側は保守派の分断工作や捜査当局による摘発の強化など、様々な仕掛けをしようとしているとか。韓国の命運は韓国保守派が政治的にどこまで頑張れるかにもかかっているのかもしれません。

●「米朝同盟」?!の可能性
では、文政権が狙っているのではないかとされるような北朝鮮主導による南北統一が、実際に起きるのか。この点について渡邉氏は、北主導の統一はなく、むしろ、米国と北朝鮮が同盟関係になるとしています。「米朝同盟」?!
トランプは金正恩に、対日占領時のGHQ方式をもちかけたそうです。もともと北朝鮮は戦前の日本をモデルにした国のようで、「ショーグン」様は日本の天皇陛下のような存在。GHQが天皇制を温存したように、米国は北朝鮮を立憲君主制の国にする。これで金正恩は安泰、韓国よりも地下資源に恵まれた北朝鮮から米国は数々の利権を享受する。ビジネスマンのトランプなら、考えられなくもないディールかもしれません。

その際、北朝鮮は韓国を欲しがるか?といえば、答はノー。韓国の方が人口が多く、金は天皇のような存在を維持できなくなり、歴代の韓国大統領と同じような運命をたどることになりかねない、統一はあり得ない、だから、今回、トランプは韓国を使わずに金正恩と交渉した、というのが渡邉氏の見方です。

この「ウルトラC」によって、地政学的にいえば、米国は朝鮮半島にくさびを打ち込み。対ユーラシア戦略の遂行上、優位な地歩を獲得することになるかもしれません。これが米朝のディールの結末として、核の廃棄と拉致問題の解決も実現させるとすれば、それとともに出てくる日本からの資金であり、北朝鮮も潤います。他方で、38度線をもって、韓国は陸の孤島と化す。米国はもはや、韓国を捨てる決断をしたとの裏情報も聞こえてきます。

●日本に迫られる防衛力の増強
ここで大事なのは、以上のような朝鮮半島の情勢が日本の外交安全保障に与える大きなインパクトです。もし、渡邉説に反して、北朝鮮主導での半島統一が成った場合は、どうなるか。日本の軍事的フロントは38度線から対馬海峡へと後退します。

もし、渡邉説のとおり米朝同盟となった場合は?恐らく、韓国は中国にますます依存するようになり、半島は「米朝同盟」vs「中韓連携」という対立構造になるかもしれません。その場合、戦後とは逆の形での南北内戦?朝鮮戦争?も考えられないこともないですが、国力がますます弱体化した韓国に対する中国の覇権が強まることも、北主導の統一と同様の安全保障上の懸念を日本に生じさせることになるのではないでしょうか。

いずれにしても日本に迫られることになるのは、自国防衛力の強化です。

今回の韓国に対する輸出審査における優遇措置の撤廃は、現在真っ盛りの参院選の争点になる性質のものではないと思いますが、この防衛力の強化という課題に対して、少なくとも、野党(立憲民主、国民民主、共産、社民など)の「共通政策」は、全く話にならないでしょう。そこには、「安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。」とあります。
自主防衛力を相当程度、強化しない限り、日米同盟の深化にしか日本の国防力の強化の道がないのが現実です。最近、トランプは日米安保条約を不公平な関係だと発言していますが、米国も民主主義の国。自分の息子が自国を守ってくれない日本のために血を流すことを、米国のお母さんたちが簡単に許すとは考えにくいでしょう。いくら条約があっても、実際にどこまで日本を守ってくれるかは、米国の世論次第。
平和安全法制は、命も軍事負担も惜しんで自分たちだけトクしようとする卑怯な日本人との見方が蔓延しないために、現行憲法の専守防衛の枠の中でギリギリ、集団的自衛権の限定行使を容認することで、日米同盟の深化を円滑化しようとしたものです。

これは日本の自国防衛のための措置ですし、もともと集団的自衛権とは、できるだけ自国の軍事負担を少なくするための知恵でもあります。ちなみに、どの国との間でも集団的自衛権を行使しない永世中立国のスイスは徴兵制の国。平和安全法制を否定する立場は、もし、自国を守ろうとするなら、日本を軍事力強化や核武装にすら追い込みかねないというのが、その論理的な帰結になるのではないでしょうか。

いずれにしても、今回の日韓関係の悪化は、国際社会では日本が考える正義の論理が必ずしも通じない場合があることに加え、朝鮮半島で実際に起こっている事態が日本にとっての安全保障上の懸念を高めている現実があることを示すものだと思います。
参院選は政権に対する中間評価という性格がありますが、こうした朝鮮半島をめぐる情勢に鑑みても、世界の主要国の首脳の中でトランプと最も緊密な信頼関係を築くことで前例のない外交力を獲得している安倍政権の安定以外に、選択肢はないかもしれません。
特番『速報 西岡力氏に訊く!大丈夫か?文政権、韓国輸出制限問題の真実』ゲスト:麗澤大学客員教授 西岡力氏 ↓↓↓
 

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プロフィール

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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。