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あいかわらず本質的な議論を欠いたままの参院選、有権者は何を選択するのか~松田学の参院選論考その1

7月4日の公示でいよいよ参院選が始まりました。では、有権者はこの選挙で何を選択するのか。
先日、松田政策研究所の動画チャンネルで私と対談をした日本維新の会の足立康史・衆議院議員は、かつて私とともに維新で初当選した、今や有名議員ですが、「松田さんのいない国会なんてやめた方がいい…」との過分な(過激な?)ご発言に続き、先週閉会となった通常国会について、
「重要法案もあまりなければ、憲法論議もなく、年金も重要なのにやっていない、何をやったのか。与野党とも参院選を意識し過ぎて身が入っていなかった」…。
やはり、国民としては直前の国会で与野党が何を対立軸に論戦を展開したかで判断したいもの。毎年の如く選挙があって、しかも、いつ解散かわからない日本には、国民が知りたい本質的な議論が国政の場でじっくりと行われにくいという困った特徴があります。

●年金?
老後2000万円赤字問題も、そもそも年金の「百年安心」とは、給付の抑制で年金制度の破綻を回避したという意味での安心であって、社会主義の国であっても、この少子化・高齢化できつい逆ピラミッドの人口構成のもと、95歳までの生活を政府が丸ごと保障する年金制度は現実に困難でしょう。少なくとも、若年世代に相当な負担増を強いることになる。
金融庁が問題提起した、この「不都合な真実」を葬り去るのではなく、では、生活の「百年安心」に向けてどうするのかを徹底論争するのが国会の役割だったはずです。今回の参院選で各党がこれにどんな答を示すのか、一つの注目点になりました。
ちなみに足立議員の所属する維新の案は、現行の賦課方式(現役世代からの保険料で年金支給)から積み立て方式(自らの年金を自ら積み立てる)への移行。ならば、上の世代の年金を負担してきた現在の高齢者の方々の年金の財源はどう確保するのか。つまり、制度の移行期に必要な財源は?その分の消費増税が必要になる?…。
私は内々、維新からの求めに応じて、将来、年金を全て給付付税額控除方式に移行する案を提案したところ、早速、維新はこれを打ち出しているようです。これは、すべての国民に最低保証額を支給し、所得に応じて支給額を減少させ、その財源は一定以上の所得の方からの所得税で賄う方式です。社会保障の中軸にこれを置けば、所得税収を一定のルールで配分するだけの仕組みですから、社会保障給付の事務を中心に、行政は大幅に簡素化されることにもなります。

●消費増税?
では、今回の参院選でもう一つの大きな論点となっている消費増税はどうなのか。
今年10月に予定通りの実施で既に経済の現場は動いており、もはやこれを中止すると、軽減税率やポイント還元に向けて準備を進めてきた現場は大混乱。財務省によると、事業者50人へのアンケートでは、うち45人が増税延期には反対したとのこと。
現実には、もう勝負あったかにみえる10%への引き上げに対し、野党各党ともこぞって参院選で掲げているのは「反対」。
自民党の甘利明・選挙対策委員長は、私との動画対談で、10月1日は「消費税が上がる日」というよりも、「給付スタートの日、国民にとっておトクなことが始まる日」へと切り替えて選挙に臨みたいとご発言しています。
確かに、消費税収の使途拡大やさまざまな財政面での措置で、少なくとも数字の上では、今回の増税が家計の負担増にならない形になっていますし、増税分を財源にして幼児教育の無償化が早速、10月1日からスタートするなど、一連の給付増の措置が始まります。
しかし、この点が決して国民に広く意識されているわけではない中で、税率10%は消費マインドに大きく響く、今回増税を掲げている自民党は不利、との見方も根強い状況です。

●根本にある問題を抉り出していない
さて、年金も消費税も、超高齢化や国民の生活不安に関わる諸問題の根源にあるのは、平成の30年間にわたる日本経済の停滞です。その原因を緊縮財政や金融政策に求める安易な議論ばかりが注目されていますが、日本経済の病はそんなに単純なものではありません。90年代以降の世界経済の大きな転換に適応できなかった日本経済の国際競争力が低下したという、もっと深刻な問題が原因です。
他方で、日本の対外純資産は世界ダントツ一位を続けています。これは、日本が自らの蓄積を国内のマネーの流れへと活かすことに失敗してきたことを意味します。ここに目を向けずに表面の政策を国政選挙で争っても虚しいでしょう。
私はかねてから「資産ストック・フロー化戦略」を唱え、最近では「みらいのお金」など情報技術の活用策まで広く提案していますが、国内でマネーが回る仕組みづくりは、公的分野、民間を問わず、いくらでも設計が可能なはずです。そうした「日本の病の根本治療」に向けた選択肢が出てこない国政選挙が、また繰り返されているように感じられます。
私も何度も経験していますが、選挙は候補者たちにとって本当に大変な所業です。参院選の場合は1年前から各地を回り、衆院選は小選挙区を何年もかけて耕してようやく当選。特に衆議院議員の場合は「常在戦場」ですから、国政よりも選挙が本業に、視野は選挙区に偏りがち…。
もちろん、足立議員が指摘するように選挙区は政策の「現場」ですし、「どぶ板」も大事ですが、いまのように日本全体が大きな再設計を要している時代にあっては、有権者にそれを説得できる言葉を自ら持てるような議員を生み出すことが喫緊の課題です。
そもそもどのような日本を政治の力でどう創るのか、そこに政治の全ての原点があるはず。どうも、その原点を欠いたままの国政選挙になっているようです。

●真の近代型政党を
国づくりの理念を掲げ、その実現に向けて国政と世論形成に専念するのが国会議員であり、選挙は組織が担う。これが「近代型政党」ですが、日本で形としてそうなのは公明党と共産党だけ。自民党は票が取れそうな候補者を公認して、選挙は自分で戦う「自分党」。
ネットの人気番組CGSで発信を続ける神谷宗幣さんと、日本に近代型政党を創ろう、で意見が一致、道のりはまだ遠いですが、厚い層の国民に広く支持される真っ当な政治の軸を創っていかなければならないと考えています。
さて、おかげさまで、松田政策研究所の動画チャンネルも、ここ数か月で登録者数がぐんぐんと伸び、6月末時点で1.1万人を超え、累積視聴回数100万回を突破しました。

以下、参院選のご参考のため、次の動画をご紹介します。
〇<自民党>甘利明・選挙対策委員長との対談
〇<日本維新の会>足立康史・衆議院議員との対談
〇<国民民主党>玉木雄一郎代表との対談
〇イシキカイカク株式会社代表取締役で人気番組CGSの神谷宗幣氏との対談
〇松田学のビデオレター(本記事に関連してチャンネル桜で発信)

〇特番『日本版NEC、景気、トランプ大統領、中国・・そして政治家の使命とは?』ゲスト:自民党 甘利明選挙対策委員長

この番組は6月初めに自民党本部の選挙対策委員長室で収録し、すでにアップされていますが、これをご覧になった方々からは、「選対委員長とやっているぐらいだから自民党公認で今回、全国比例に出るんでしょう?」、「今の松田さんの勢いなら20万票ぐらい取るでしょう…」などと言われたりもしました。しかし、自民党全国比例はタレント並みの有名人か、自民党がここは集票実績があると認める既存の組織団体からの15万票以上の組織票がないとなかなか公認されません。これは私が3年前に「オープンエントリー」に、となったときに痛感したこと。現在の私の場合、全国比例では新しい勢力や次なるフロンティアを求める方々からの応援になりますから、少し性格が異なるということになるのかもしれません。それはそれで自民党の一つの現実。
この番組では甘利選対委員長から、安全保障も絡めた経済戦略の司令塔としての日本版NECの創設や、SNSやデジタル分野への取り組み、政治のあり方や野党に対する見方など、なるほど…と頷けるご発言が多々あります。

〇『足立康史衆議院議員登場!税、社会保障、ブロックチェーンなど真面目に議論します!サプライズゲストあり』ゲスト:足立康史衆議院議員

思い返せば、私は、国会では維新のためにずいぶんと貢献していたと思います。この番組、話題は政局や政界再編から、中身の濃い政策論まで、途中で維新の藤田文武・衆議院議員も加わり、結構、面白くも内容のある国政談義になりました。
自民党が幅広い立場を包摂する中で安倍政権は改革派であり、維新に近い、だから「是々非々」の維新としては「是」が多くなっている、将来は自民党が2つに割れなければならず、維新はその一方と組む…。足立議員とも自由闊達に談論風発していた当時を思い出します。

〇『国民民主党玉木代表にじっくり訊く!国民民主党ってどんな政党?Google時代の政治の在り方』ゲスト:国民民主党代表 玉木雄一郎衆議院議員

日頃の私の主張に近い政策論でした。これだけの主張をしている党首が存在していることに驚きました。党派を超えて良き政策論の発信をめざす当チャンネルですので、国民民主党を支持する趣旨ではありませんが、少なくとも、こうした公党の代表の政策が既存のメディアから国民には伝わってきていないのは事実。同党の支持率は1%未満ですが、玉木代表によると、ネットをみている若年層の支持率は10%台であるとのこと。

〇『人間か?ゾンビか?貴方はどっち。真の近代政党の作り方』ゲスト:イシキカイカク株式会社 代表取締役 神谷宗幣氏

日本の政治には有権者にとっての選択肢がない。参院選も、野党がだらしなくてまた消極的選択?かと言って、新党ができても結局、何をしたいのか見えなくなるだけ。ここはやはり、ポスト安倍を見据えて、地に足の着いた近代型政党を創ることが喫緊の課題。では、どうやって新しい政治の軸を創るのか。いつもはCGSチャンネルにお招きいただいて議論してきた神谷さんに、今度は松田政策研究所動画チャンネルに来ていだきました。多くの有権者が満足していない今の政治を超えて、次の日本の政治を展望しています。

〇【松田学】日本を蝕む病、国会の堕落と経済の低迷[チャンネル桜 7月2日放映]
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プロフィール

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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。