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「米中冷戦」?の中で、中国事情と日本の道(その1)~松田学の論考~

2018年10月、安倍総理が訪中し、首脳会談を行っているその日、私は中国に滞在して同国の金融関係者の方々と意見交換をしておりました。

日中関係が改善に向かう中で、10月半ばに東京で開催された言論NPOの東京-北京フォーラムでは福田康夫元総理が、日中関係は「吊り橋から鉄橋へ」とより強固になりつつあると述べていましたが、安倍総理は10月末の訪中時に、習主席、李克強首相それぞれとの会談の冒頭、「競争から協調へ」「互いに脅威とならない」「自由で公正な貿易体制を発展」の3点に言及したとされます。

●中国出張
そのとき、私が滞在していたのは大連市、そこから旅順日俄監獄旧址博物館、そして二〇三高地、旅順軍港を訪れ、それは中国から日本の歴史を振り返る旅となりました。
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その後、中国の方々とともに丹東市を訪問、同市は鴨緑江を挟んで対岸に北朝鮮が見える位置にあります。丹東では、北朝鮮の方々がやっている店の北朝鮮料理を堪能しました。北朝鮮のビール、金正恩お好きな冷麺。従業員も歌手も女性たちは皆さん北朝鮮では上流階級の出で人民元を持ち帰るとか。街には出歩けないそうです。スープは松茸のお吸い物。味わったことのない味覚。同じ夜でも鴨緑江の対岸の街は暗い夜でした。
丹東から、朝鮮戦争時に破壊された鉄橋、断橋で鴨緑江の真中まで行きました。そこから見えるのは北朝鮮。すぐ隣の鉄橋は鉄道橋です。
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ちょうど中国側から列車が通過し、中には多数の乗客。中国からの観光客で、彼らは24時間以内ならパスポート無しで北朝鮮に行けます。一日一便の列車、この写真の朝の便と、夕方の帰りの便だけですので、写真を撮れたのはラッキーでした。
橋から臨む中国サイドの風景は北朝鮮と大違いです。
さらに、鴨緑江を船で北朝鮮に接近し、中国から隣の国を覗きました。北朝鮮の船、働く人々、向こう側の写真です。北朝鮮と中国丹東の差も対比させてみました。中国の方々と一緒に異質な国にアプローチすると、あれほど違う国と思っていた中国も、実は既に日本と同じ世界にいるような錯覚?を感じます。
20181224_03 その後、北朝鮮をバックに船は鴨緑江を丹東まで戻り、前夜に続き昼食はもう一軒の北朝鮮料理店へ。経済制裁の結果、北朝鮮の人がやっている店はこれら二軒しか残っていないとのことです。この女性も、もちろん北朝鮮の人。前夜もそうでしたが、中国人に混じっていても私は日本人だと分かるのか、帰り際に、さよなら、と挨拶。

丹東市は人口200万人、これだけの大都市の産業は何なのか?と尋ねてみたところ、観光との答。中国人による北朝鮮鉄橋越え24時間以内ツアーが多いのでしょうが、それだけで200万人もの人口は説明がつきません。やはり、貿易、という答が返ってきました。これだけの人口を貿易で養っているなら、しかも鴨緑江を挟んでキラキラ繁栄する中国が北朝鮮の目の前にある。経済制裁などできるのか?というのが実感でした。

丹東から大連まで高速道路で4時間。大連に戻ると、そこはもう、東京と変わらない近代大都市の風景ですが、かつてのロシアの影響か、ヨーロッパ風の建築物や住宅が他の中国都市よりも多く、まるでヨーロッパ都市にいるかのような感覚です。

●中国経済の今…本音は?
中国経済界の方々から現地で本音を聞くと、米中貿易戦争だけでなく、10月4日のペンス副大統領の米中関係リセット発言まで飛び出す最近の米国を、中国は本気で恐れているようです。中国が手のひらを返したように日本に接近している背景には、日本を味方につけなければならない切羽詰まった事情があるのは確かです。

最近の中国経済は、リーマン後の投資拡大、レバレッジ局面から一転、過剰投資を抑制する局面に入り。特に2017年からは逆レバレッジ政策となる中で、例えば金融も理財商品から銀行融資に回帰するなど、全体的に委縮気味です。

その中で2018年2~3月頃から米中貿易摩擦が激化し、不透明感が強まったことで、最近では緩和気味の政策になっていますが、これが再び過剰投資にならないよう、バランスの取れた政策が求められます。

ただ、どうも、中国経済界の実感は、ここ数か月、局面が大きく変わった、急におカネがなくなった、というものでした。一帯一路構想も国営企業のためのもので、そもそも経済性が乏しく、民間経済界には裨益しないなどの声も聞かれました。

下図は、そうした中国経済の本音をまとめたパワーポイントです。
20181224_03_01 この続きは、(その2)で議論いたします。
松田学のビデオレター、第98回は「中国出張で見えたもの~中国経済とパックスアメリカーナの先行き」
チャンネル桜11月2日放映。
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プロフィール

matsuda-manabu

Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。