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がんばれ、アベノミクス~いまこそ、「この道しかない」~

 年明けから株や為替は波乱含み、日銀のマイナス金利で動揺する金融情勢…、どうも日本経済への先行き不安が台頭しているようです。
政権与党の立場からみれば、円高・株安となれば国政選挙に響くとの懸念から、今後の政治日程にも微妙な影響が出そうです。

では、今回のマイナス金利も含め、これまでのアベノミクスが間違っていたのかと言われれば、そうではありません。
いまの日本経済が直面する最優先課題がデフレ経済からの完全脱却であり、そのための処方箋としてのアベノミクスが目指してきたところは、依然として正しいことに何ら変わりありません。

私自身は、これまで一貫して、アベノミクスを応援してまいりました。
一部に誤解もあったようですが、私が経済政策について色々な提案や議論を発信してきたのも、アベノミクスの成功を願ってこそのものでした。

かつて衆議院議員のときの国会質問もそうでした。
立場が野党でしたから、質問に立った時は疑問点をぶつけるしかありませんでしたが、それも、アベノミクスの本質を国民によりわかりやすく浸透させることを基本としたものでした。国会の現場で私の議論を聞いていた与党議員や政府関係者には、私が安倍政権の応援者であることがニュアンスとして十分に伝わっていました。

いまは市場が荒れているとき。しかし、解決策はアベノミクスが目指す方向しかありません。だからこそ、安倍政権には経済政策にブレずにがんばってほしい。

以下、なぜ、いまこそ「この道しかない」のかについて、コメントしたいと思います。

●3本の矢は依然として正しい

 アベノミクスが最初に放った最初の3本の矢、そのうち第1の矢である異次元の金融緩和は、マネーを増やし、物価上昇期待を高めて、デフレマインドを改善することを狙うものです。1ドル80円もの円高を大きく是正し、株価を上げたのは事実です。
 確かに、金融緩和の効果が十分に発現することに遅れが出ています。だからこそ様々な工夫が必要です。
 しかし、この政策そのものについて、副作用が多くて間違いであったと断じてしまっては、かえって市場の混乱を大きくするでしょう。
 経済政策には、わかりやすさと継続性が必要です。
 
 第2の矢である機動的な財政政策も、補正予算などが小ぶりであるとの批判はありますが、日本の財政運営への信頼が2020年度プライマリーバランス達成を掲げることで担保されているという制約のもとでは、よくがんばっていると思います。
 国債増発にタガがはまっている以上、財政政策は支出の中身で勝負するしかありません。

 第3の矢である成長戦略は、そもそも効果が出るには時間がかかるものです。
 むしろ大事なのは、国民に少し先への展望を示すことではないでしょうか。

●いまは政治が国民に対して夢を描く局面

 それに応えるものとして、安倍政権は「新3本の矢」を打ち出しました。
 2020年度をめどに、名目GDPを600兆円に、出生率を1.8に、介護離職をゼロに。
 これら新3本の矢は、財政再建の基礎となる経済成長と、日本の最大の長期的課題である少子化対策と、国民の最大の不安である社会保障について、国として真正面から取り組むという強いメッセージを発信するものです。

 その基本にあるのは、「一億総活躍社会」。
 経済成長の障害として最近では、人手不足に象徴される供給力の制約も指摘されるようになりました。
 女性も高齢者も障がい者の方々も、誰もが活躍できる社会にして労働参加率を上げることは、政府が「中長期の経済財政に関する試算」で示している「経済再生ケース」を実現する上での基本です。

 一億総活躍社会のさらに基本にあるのが「チャレンジ」、挑戦です。
 人々の挑戦あってこそイノベーションが起こり、経済再生ケースのもう一つの前提である生産性の上昇が達成される。
 
 この経済再生ケースは、4%近い名目成長率を実現することで、経済成長と財政再建を中長期で両立させる「楽観ケース」です。あまりに楽観的で非現実的という批判があります。
 しかし、デフレ経済から次の局面へと経済を進めなければならない段階では、こうした国民に夢を掲げて挑戦を促していくスタンスこそが、政治のあり方でしょう。

 確かに、将来への備えは必要ですし、消費税の増税も必要ですが、その前に、経済が成長軌道に乗らなければ、かえって委縮状態となって、必要な備えができるための経済力そのものが弱まってしまい、元も子もなくなります。
 ドイツが3%の付加価値税率引上げを実施したとき、ドイツ経済は好調で、増税でも経済はビクともしませんでした。

 そのときどきの局面によって政策の優先順位は変わります。それを決めるのが政治です。
 10%への消費増税先送りを安倍政権が2014年の衆院解散時に決断したことは、当時の財政当局の立場とは相容れなかったでしょう。しかし、それは財政当局よりも上位に立つ一国の宰相レベルでの判断であり、それが政治というものです。

 「新3本の矢」は具体性がないなどと批判されますが、だからこそ、その中身の設計が課題です。
 私が提唱する「真」3本の矢(1.未来へのストーリーを描く、2.人々のチャレンジをサポートする仕組みを設計する、3.万般にわたるセーフティーネットを整備する)も、新3本の矢を真に実現するための一つの提案です。

●経済不安は海外要因

 目下の経済不安は、日本の経済運営の不手際によるものではありません。海外要因によるものです。
 中国経済の不調や先行き懸念、米国FRBの金融政策、原油価格下落や新興国経済の不振、そしてこれらに伴って「リスク・オフ」となった世界的な市場マインドなどは、日本の経済運営では如何ともしがたいものです。
 これによって、リスクテイクに消極的な海外勢が安全な逃避先を求めたり、運用資金の「巻き戻し」現象が起こったりして、日本では円高や株安になったりする。
 どの国もがグローバル経済とは無縁ではいられないこんにち、日本がその例外であることは考えにくいでしょう。

 むしろ、こうした海外からの大波による被害を最小限に食い止めるためにこそ、アベノミクスを大胆に遂行していくべき局面だと思います。
 円高になったといっても、かつての80円になったわけではありません。株価が下がったといっても、ずっと1万5千円割れが続くということではないでしょう。
 そもそも多くの国民にとって大事なのは株価よりも賃金です。賃金を着実に上げていこうという安倍政権の姿勢のもとに、アベノミクスを貫徹させて市場の安定と未来への期待醸成に全力をあげて取り組むことが、政策の王道だと思います。

●マイナス金利をどう考えるか

 日銀のマイナス金利が混乱をもたらしているとの批判がありますが、そもそもデフレ脱却で大事なのは、実質金利を低くし、マイナスにすることです。

[実質金利=名目金利-期待インフレ率]、ですが、アベノミクスは、金融機関から大量に国債を買うことで名目金利を下げ、2%のインフレ目標のもとに期待インフレ率を上げることに注力してきました。
 こうして実質金利をマイナスにすることで、市中のおカネを増やしてデフレを克服すると同時に、国の国債金利負担を小さくして財政を改善させることになります。

 政府の中長期試算では、アベノミクスでこれを何年か続けることで、2017年に消費税率を10%にまで引き上げさえすれば、その後、増税などで国民負担を増やさなくても、2024年度には財政のプライマリーバランスが黒字になる姿が示されています。

 過去150年間で世界の実質金利、つまり、名目金利がインフレ率を下回った状態は、現在で4回目です。2度の世界大戦と石油ショックの頃と、今のリーマンショック後です。第二次大戦後に各国が財政再建に成功したのは、金利に対する規制が強かったからだと言われます。

 いま、日米欧が実施しているのは、市場から国債を買うことで名目金利を下げることです。
 しかし、日本では、最近までデフレのおかげで、期待インフレ率が低いかマイナスということで、マイナスの実質金利を作れないでいました。
 これを打破したのがアベノミクスの本質です。

 ところが、日銀が銀行から国債を買っても、そのおカネは銀行から日銀に当座預金の形で預けられ、市中への貸し付けなどの運用に必ずしも十分に回っていませんでした。結果として、市中マネーの増え方が十分でなかった。
 期待インフレ率が2%の目標になかなか達しないことのもう一つの背景には、原油価格の下落という、これも日本では如何ともし難い海外要因があります。

 だからこそ、こうした障害を克服してアベノミクスの効果を十全に発現させるために、銀行が2月16日以降、新たに日銀に預ける当座預金の金利をマイナスにした。
 銀行は今後、日銀に国債を売って得たおカネを日銀に預けたら損しますので、市中への貸し付けなどの運用に回すことを迫られるわけです。

 マイナス金利のおかげで銀行の収益が圧迫されるとの懸念から銀行株が売られたりしていますが、そもそも、200兆円を超えるまでに積み上がった「ブタ積み」とも呼ばれる日銀当座預金の0.1%の金利で、銀行は毎年、2,000億円も儲かっているわけです。
 今回、この部分には手をつけません。マイナス金利は今後、当座預金を増やす部分についてだけです。

 ならば、銀行は、金利収入が下がる国債や日銀預金といった誰もが文句を言わない安全資産に逃げることなく、もっと中小零細企業など、これまで保守的な形式基準で銀行がおカネをなかなか貸さなかった先に対して目を向けるべきでしょう。
 銀行は、本来の存在意義や役割をもっと果たすことに追い込まれることになります。
 かつて専ら財務の健全化の視点から銀行に目を光らせてきた金融庁も、最近では方針を大転換しています。
 なのに、担保価値や決算書などの形式基準に逃げて責任を回避しようとする銀行は、「笛吹けど踊らず」でした。

 金融機関がもっとリスクテイクをしなければ、いくら挑戦者が現われても、肝心のおカネが回らず、チャレンジができません。
 これは、一億総活躍社会を実現する上で、根本にある課題だと思います。

●やはり「この道しかない」アベノミクス

 2014年の総選挙で、安倍総理は「この道しかない」とアベノミクスへの信認を訴え、国民の支持を得ました。
 当面、もし、経済が不安定であっても、では、それを解決する代替案はあるのか。
 もちろん、市場の動向に応じて政策の一部を見直すなど、機動的弾力的に対応することは時に必要でしょう。
 しかし、政策の大筋を変更するほどの別の政策体系がアベノミクス以外にあるのかと問われれば、それは現実的ではありません。

 やはり、海外からの大波から私たちの国民生活を守り、日本経済を着実に成長させていくには、アベノミクス「この道しかない」、これを再確認すべきだと思います。
 ブレずに王道を歩み、そこに実効ある具体的な政策を盛り込んでいく。有権者が真に期待するのは、こうした有為な政治と政策遂行能力なのだと思います。
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松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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