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松田まなぶのビデオレター、プライマリーバランスのマジックと国民に夢を描く政治。

〇政治が国家の本質的な課題を伝えていない。
 今年はダブル選挙も囁かれる選挙の年。選挙は国民にとって大事な選択の唯一のチャンスなのに、大事なことが国民に伝わっていないまま、そして、本当に国民に問うべき選択肢が提示されないまま、国政の行方が決まってきたように思います。

 結果として、国民に不人気でも国民生活の将来のためにやらなければならない課題解決は先送りされてきました。

 国民にあまり知られていないことの例として、消費税収が全額社会保障に使われていることや(公務員の給与や法人税の減税に回っているのではない)、平和安全法制が「戦争をしない法案」であって専守防衛の考え方に忠実であることなどが挙げられます。
 その他、色々ありますが、私が衆議院内閣委員会にいたとき、マイナンバー法案の審議があまり報道されておらず、いざ実施直前になって、誤解に基づく大騒ぎになりました。これだけ大事なことを国会で議論しているのに、メディアもほとんど取り上げていなかったことを不思議に思ったものです。

 どうも、日本は国政選挙が多すぎるのかもしれません。選挙を気にして、政治は思い切った改革ができないことになります。

 松田まなぶのビデオレター、第27回は「有権者から選択肢を奪うべからず、選挙の前に共有されるべき事」。チャンネル桜、1月26日放映。
 こちらをクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。


 ドイツでは、国民の痛みを伴う厳しい構造改革が、シュレーダー政権時に行われました。2000年代前半のドイツは、高失業の東ドイツを抱え、失業保険で財政パンクしそうな状況でした。
 これに対して、失業給付と生活保護を一体化し、「福祉から就労へ」、「生活保護から雇用へ」、要するに、「働かざる者は食うべからず」的な改革がなされました。

 この不人気政策もあって社会民主党政権は05年にメルケル政権に交代しました。
 やはり、大きな改革というのは政権を賭けるぐらいのインパクトがあります。ドイツですらそうです。長期安定政権でないとなかなかできないことでしょう。
 その後、メルケル政権は10年も続いています。国益を考えれば、安倍政権が明治以来最長の政権となるのが望ましいのかもしれません。

 戦後ドイツの首相はアデナウアーから数えて8人です。
 これに対し、日本の首相は戦後34人となりました。
 1974年に首相になったヘルムート・シュミットは在任期間8年あまり、次のコール首相はなんと16年、この間に東西ドイツ統合をなし遂げています。次のシュレーダー首相は7年ほど、そしてメルケルさんが10年を超えました。
 戦後70年で平均では一人当たり9年弱になります。
 日本の場合、戦後70年間で34人ですから、平均在任期間は一人当たり2年程度に過ぎません。

 今や「欧州の覇者」と言われるまでなったドイツは、労働市場改革に加え、メルケル政権誕生の2年後に付加価値税率を16%から19%へと3%引き上げる増税を断行しました。
 メルケル政権が05年に誕生した当時のドイツは、4年連続でマーストリヒト条約における財政赤字基準(一般政府の財政赤字対GDP比3%以内に抑制など)を超過しており、財政再建が喫緊の課題でした。

 実は、日本は、社会保障負担で国民に痛みを求める改革が必要な局面にあります。

○来年度予算と中長期の経済財政試算
 国会で審議が始まった来年度予算をみると、社会の高齢化に伴って、社会保障費が一般会計総額の3分の1に達しています。



 税収増で国債発行額は前年度より減りますが、財政再建の中間目標であるプライマリーバランスの赤字は、国の一般会計については▲10.8兆円です。



 政府は、国と地方を合わせたプライマリーバランスの赤字を2020年度に解消することを目標に掲げていますが、これからの財政はどうなるのでしょうか。図は、今年1月に改定された政府試算の数字をもとに作成したものです。
 


 これによれば、経済再生ケース、すなわち、アベノミクスが大成功して経済成長率が名目で3.8%と、考えられる目いっぱいの伸びまで上昇しても、それによる税収増で財政が改善する額は5.9兆円に過ぎません。
 2017年4月に10%に引き上げただけでは、政府が目標とする2020年度プライマリーバランス達成には、6.5兆円不足します。
 その分は、社会保障給付を削減するか、さらなる増税をするしかなく、いずれも国民負担増です。

 ただ、成長率が金利よりも十分に高い経済を続けることさえできれば、財政そのものは心配ないということも、政府試算は示しています。



 これまでは2023年度までしか発表されていなかった政府試算を、今回は2024年度まで発表しました。
 すると、プライマリーバランスは2024年度に黒字化することになっています。
 しかも、財政再建の目標は公債等の残高の対GDP比が低下していくことですが、2024年度にかけて、この比率は一貫して低下していく姿になっています。

 もちろん、これには数字のマジックがあります。
 経済成長が高まれば金利も上がります。いずれ、金利が成長率を上回りますが、国債は60年償還で借り換えられていきますから、そのときの市場金利で借り換えがなされていけば、現在のような超低金利が財政を改善させる効果はいずれストップし、逆に、金利上昇が財政を悪化させていくことになります。
 また、2025年度には団塊の世代が全員、75歳以上の後期高齢世代入りしますから、その後、医療や介護の支出が爆発的に増えていくことも予想されています。

 ただ、経済再生ケースを実現すれば、その頃までは経済だけでなく財政も改善する。
 この経済再生ケースの前提となっているのが、次の図です。



 一つは、高齢者と女性の労働参加率が大幅にアップすること。まさに「一億総活躍社会」の実現です。
 もう一つは、毎年の生産性上昇率が現状の0.5%程度から2.2%程度までアップするということです。
 この2.2%という数字は、1983年から92年という、日本経済が絶頂期にあった頃の数字です。当時、日本経済は実質で4%程度の平均成長率で伸びていました。それは2000年代に入って0.8%にまで低下しています。
 「夢よ、もう一度」です。
 
 夢を描き、それに向けての「チャレンジ」を掲げる政治が、アベノミクスです。
 これに対しては、経済のリスクを考え、また、10年以上先の将来も考え、今から備えをしておこうという選択肢もあるかもしれません。

 ただ、私は、デフレから完全脱却を目指す現段階では、高い目標に向かってチャレンジすることを重視するのも、政治のあり方ではないかと思っています。
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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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