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松田まなぶのビデオレター、第24回は「超大国中国の出現を念頭に国家戦略の形成を」

前回のビデオレターでは、自主憲法制定と日本の国家戦略形成とは、どのような国の姿を目指すのかを考える営みであるという点で共通だと述べました。それは、日本は国際社会の中でどのような存在を目指すのかを考える営みにほかなりません。
その国際社会が、21世紀に大きく変貌していきます。
戦後の日本にとって、超大国といえば、それは米国でした。そこに中国の台頭が起こり、これにどう向き合うかが21世紀の当面の世界共通課題になっています。

今、地上に生きている人類は、米国が世界一の経済力である国際社会以外の国際社会を知りません。いずれ、中国は経済規模で米国を追い抜くでしょう。人口という要素は極めて大きいものです。
世界の人口(72億4,400万人)のうち、中国(13億9380万人)は約2割(19.2%)を占めます(世界人口白書2014年)。日本(1億2,700万人)の11倍です。
 米国の労働力人口は日本の3倍ですから、日本の労働生産性が3倍なら日本は経済規模で米国に追いつきます。これは不可能です。
 これに対し、中国の労働力人口は米国の4倍です。中国の平均的な労働者が米国の平均的労働者の4分の1だけの富を生産すれば、中国のGDPは米国に追いつきます。近年、労働生産性の差は縮まってきているとされます。
 すでに中国は、西に向かっては「一帯一路」構想を、東に向かっては米国との間で「新型の大国関係」を唱道しており、中国が主宰するアジア太平洋秩序が着々と形成されつつあります。

 確かに中国経済は、過剰設備と過剰債務で苦しむでしょう。これから高齢化社会に入ります。成長率は低下していくでしょう。政治的、経済的、社会的混乱などの中国悲観論は正しいです。
 しかし、極めて長い目でみれば、中国が米国を上回る超経済大国になることを否定する要素はあまりありません。そのことが国際秩序にもたらす影響は甚大です。

 これまでは中国のGDPの半分近くが固定資産投資でした。そのパラダイムは行き詰まっています。
 しかし、これは逆に、サービス経済、消費主導型の成長へと転換する余地が中国経済にはあることを示すものでもあります。
 中国には「都市化の物語」があります。農村人口の都市への流入は、今後も続きます。都市への人口集積は、そこに消費市場の拡大を生みます。
 今後、モノの世界では中国が世界経済を牽引する力は低下するでしょう。しかし、他方で、経済のサービス化によって中国経済自体は成長していくことになります。

 人民元のSDR入り、しかも構成比率はドル、ユーロに次いで3位。モノの大量生産の世界だけでなく、通貨・金融でも中国は日本の地位を脅かしています。

 カネに加えてもう一つ、サービス経済化も価値規範の形成を支配します。
 世界が中国のテースト、価値観に合わせて生産活動をする。国際秩序に与える影響という点では、これまでの大量生産の中国よりも、もっと怖いかもしれません。

 だからこそ、これから日本は何で差別化して生きていくのか、国際社会の中でいかなる存在を築くのかを考えることが喫緊の課題です。

 これまで日本は、相手の立場に立つ、同じ目線でともに働く、技術の信頼度などによって、国際社会で高い「信用」を獲得してきました。
 これは日本の売り物であり、このことを体化させようとするのがAIIBに対抗すべく打ち出されている「質の高いインフラパートナーシップ」です。
 やはり、「新しい日本のストーリー」が必要です。

 今回のビデオレターでは、前回に引き続き、国家戦略形成のステップを進めてみました。
 松田まなぶのビデオレター、第24回は「超大国中国の出現を念頭に国家戦略の形成を」。チャンネル桜、12月15日放映。
こちらをクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。


 以下、番組でご紹介したパワーポイントを掲載します。
 国家戦略形成の方法論、今回は、ステップ3まで到達した前回に続き、ステップ4とステップ5です。


 前回、ステップ2で得られた日本の本質的な強さは、次のようなものでした。


 そして、ステップ3では、「日本が追求する限りなく理想に近く、現実的な日本の国の理想的な姿(アイデンティティー)」として、次のような仮説的結論が導かれました。


 今回紹介するステップ4は、ステップ3までに得られた日本のアイデンティティーと、現実の日本との間に存在するギャップを、日本の強さを徹底活用して埋めるための選択肢は何か、を見極める作業です。


 そして、ステップ5では、その選択肢を実現するための日本の国の「設計思想」は何かを考えます。松田まなぶは、次の3つを日本の「設計思想」として提唱しています。


 大事なのは、こうした「新しい国づくり」の設計思想を各政党それぞれが打ち出して競い合う政治を実現することです。
 これは、政権与党にこそ問われる大きな課題です。
 もし、政権を担うにふさわしい政党は自民党以外にないというのが大多数の見方だとしても、国政選挙がそうした消極的な選択の場になってはいけません。
 安倍政権がどのような国づくりを目指しているのかについて、有権者が納得して選択してこそ、真の民主主義といえるでしょう。
 それは、政治が自主憲法制定に向かうために必要なプロセスでもあると思います。

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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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