fc2ブログ

記事一覧

松田まなぶのビデオレター、第16回は「為替操作国の実体経済、集団的自衛権の平和志向」。

中国経済における人民元安問題と、いま話題の日本の安保法案について論じました。

 最近の株暴落も人民元安政策も、中国の実態経済が相当悪いことの反映です。それを糊塗するために掲げた「中国の夢」の一つがシルクロードの物語、「一帯一路」構想でしたが、もう一つ、習近平はその東側の、これも広大なる太平洋を舞台に、米国に「新型の大国関係」を提案しています。南シナ海が中国の実効支配のもとに置かれれば、米国が集団的自衛権で日本を守ってくれる日米安保体制も機能しなくなると言われます。今回は、この集団的自衛権を中心に、誤解だらけの安保法案について論じてみました。国会やメディアでの議論があまりにもズレていて、私、松田まなぶも黙っていられなくなっています。

第16回「為替操作国の実体経済、集団的自衛権の平和志向」チャンネル桜、8月25日放映。
こちら↓をクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。


 今回の法制で行使が容認されることになる集団的自衛権は、同盟国の一国が攻撃されれば直ちに他の同盟国も反撃に加われるという、国連でどの国にも認められた国際標準の集団的自衛権ではありません。日本の場合、国家の「存立危機事態」という、実質的には個別的自衛権の世界に限定されることになります。ただ、形式的には国際法との整合性をとる必要があるため、憲法解釈の変更が必要になったものです。
 そもそも国家による武力行使には、自衛、制裁戦争、侵略戦争の三種類があります。昨年春、政府の安保法制懇談会は、憲法第9条は専ら侵略戦争を否認したものであり、自衛のみならず制裁戦争も憲法上許されるとの説に立脚した報告書を出しました。当時、私は、日頃から「積極的平和主義」を唱える安倍総理は、憲法解釈をこの報告書に倣う形で変更するものと思っていました。
 ところが、安倍総理は、この説は採らないとした上で、イラク戦争に日本が参加するようなことは未来永劫ないとまで断じました。制裁戦争も国際標準での集団的自衛権も明確に否定したわけです。これは安倍政権が予想以上にハト派に近い立場だとの印象を与えるものでした。憲法解釈には学説的にも右から左までありますが、国際標準では中道左派にとどまっているともいえます。集団的自衛権の行使容認は憲法解釈の変更ではなく、憲法改正によるべきだという議論が横行していますが、改憲論議が本当に必要になるのは、国際標準の集団的自衛権や制裁戦争に踏み込むステージにおいてだと思います。
 国際情勢や世界の安全保障の概念の変化、あるいはグローバル化で日本人や日本の設備が海外で活動を活発に展開するようになった現状は、かつて、従来の憲法解釈が確立した時点では想定外だったでしょう。人間はすべてを見通せる神様ではありません。環境の変化に適応して自ら変化できない種は滅びます。解釈変更まかりならんとの主張は、「官僚の無謬性」の弊害を想起させるものです。大事なのは憲法の趣旨でしょう。
 これまで自衛隊の存在などを合憲としてきた憲法解釈の根拠も、憲法が規定する平和的生存権などです。国民の平和的生存権を全うするために、自国防衛のあり方を現状に合わせた再構築してみると、国際法では集団的自衛権に分類される措置が必要な事態が想定されるような現実があるということであれば、そしてその範囲であれば、専守防衛の憲法の趣旨を逸脱しているとまではいえないはずです。
 多くの国民から「戦争法案」とまで逆方向の誤解を受けてしまった安保法案ですが、きちんと整理された冷静な議論を求めていきたいものです。

1

2
関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

matsuda-manabu

Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

月別アーカイブ