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松田まなぶの論点 国家戦略特区法案 ~衆議院本会議~

衆議院本会議 11月21日討論原稿 国家戦略特区法案
                                日本維新の会
                                松田 学                   

 日本維新の会の松田学です。
 私は、日本維新の会を代表して、「国家戦略特別区域法案」及び同修正案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 本法案について、当初、私たちはこのままでは賛成できないと考えておりました。アベノミクスの決定打として次は何が出てくるのかと国民は期待していたにも関わらず、この法案自体は中身に乏しいものであり、これが第3の矢として期待された成長戦略の柱なのかと思わざるを得なかったからです。
 総理が今国会を成長戦略実行国会と位置付けた割には、本法案の内容は、単に、事業者などからの要望のうち、着手できる項目を並べ、しかも、手続きの円滑化や検討としたものが多く、骨太の「国家戦略」が見えるものとはいえません。
 アベノミクスとはこんなものだったのか、結局は既得権益や官僚の決めた枠組みから出られないのが安倍政権だったのか、そのような印象を禁じ得ませんでした。
 もちろん、各分野で、いわゆる岩盤規制に穴を開ける実験を行い、社会の課題解決モデルの構築で成功事例を生み出すプロジェクトを推進することが経済成長の起爆剤になるという、本特区構想の考え方そのものは、我が党としても、その方向性を同じくするところであります。
 しかし、規制改革によってこの趣旨を実現するためには、各分野の岩盤規制を大きく組み替える、制度の再設計が必要です。それを実験する特区が国家戦略なのであれば、そうした再設計の姿を示す思い切った内容を期待するのが当然です。
 今国会では、政府提出法案には、「問題や不足は多いが、無いよりはマシだろう」という、法案としての完成度が高くない法案が目立つように思われます。最低限のラインだけ描き、その趣旨には国会も野党も反対できないだろうとして、あとは政府の次なる措置をみてほしいというやり方は、議会制民主主義の精神にもそぐわないのではないでしょうか。
  
 ただ、内閣委員会での本法案の審議を通じて、次のことが確認されました。第一に、本法案は政府の今後の取組みの枠組みを作るものであって、改革措置の中身はこれから拡充していく性格のものであるということです。第二に、その際に他の改革措置との併せ技で、本法案には盛り込まれていない政策理念との結合が図られるという発展可能性を有しているということです。第三に、その点についての担当大臣や総理の決意と覚悟が示されたことです。
  
 日本維新の会の発祥の地である大阪府と大阪市は、共同で国家戦略特区の提案募集に応じ、「岩盤規制に風穴を開け、民によるイノベーションを創出する」という観点から提案を行っています。
 それは、御堂筋エリアを対象に高度な人材や企業を集める「チャレンジ特区」、外国人医療スタッフにも門戸を開放して混合診療の実施など最先端の医療サービスを提供する「国際メディカル特区」、先進医療の保険診療併用特区、人が集積し楽しい街を実現する「大阪高度集密都市特区」です。
 これを実現し、大阪都構想を確かなものとすることが、日本の将来の姿につながるのであり、その意味で大阪はまさに、国家戦略特区のモデルになるものと考えています。
 そして、本法案の足らざる部分として、大阪は具体的に次の点を要望しています。
 第一に、医療分野については、本特区内で実施される先進医療や予防医療に関する保険外併用診療の範囲を拡大することです。また、国際的な医療拠点の形成を図るため、試験研究の体制の整備などの措置を講じることです。
 第二に、雇用分野については、有期雇用の特例について、優秀な人材の活躍の機会が十分に確保されるよう、資格制限などをできるだけかけないようにするなど、特区制度が実効あるものにすることです。また、労働規制の緩和につき、成果主義を踏まえた、自由な働き方を保障するような制度を盛り込むことを検討することです。
 第三に、都市インフラの競争力強化について、空港や港湾、道路などの機能強化に必要な規制の特例その他の措置を講じることです。
 第四に、税制です。大阪府市ではすでに国際戦略特区で地方税をゼロにし、地方として大胆に汗をかきました。がんばっている地域に対しては国も本気度を示すべきであり、地方税ゼロのエリアには国も法人税をゼロにすることなどを要望しています。
 内閣委員会の質疑では、日本維新の会は法案に不足している点を縷々指摘し、よりインパクトのある大胆な規制改革の実行を政府に迫りましたが、特に、以上の大阪の要望については、その多くについて政府側より前向きの答弁が得られたと考えています。
 特に私たちが重視したのが税制です。税制については年末の税制改正で検討されるものであり、今回の法案はとりあえず規制改革措置に関してまとめたものということですが、そもそも、特区といえば税制の特例措置がポイントになるものであり、それが欠落した特区であっては、十分な実効性が確保されないものと考えます。
 中でも私たちが本法案に賛成する条件と考えたのが、地方公共団体が地方税を減免した場合の法人税の特例措置です。例えば、地方が地域活性化のために自ら身を削って地方法人事業税を減免しても、国税の側では、その分、損金算入額が減り、法人税負担が増えてしまいます。
 国の制度が地方の努力を無にするように働くというのでは、地方の自立や地域活性化を促進しようとする政策に逆行しますし、常識から考えてもいかにもおかしいといえます。
 これは明らかに、政治がイニシアチブをとって是正すべきものではないでしょうか。
 残念ながら、この点についての私たちの提案は、法案の修正には至りませんでしたが、昨日の内閣委員会の締め括り質疑において、担当大臣である新藤大臣から、「年末の税調プログラムで全力で取り組む」とともに「必要な成果が得られるように取り組んでいく」とするなど、要望を最大限に尊重する旨のご答弁があり、また、安倍総理からも、年末の税制大綱に向けて、地方の努力を踏まえて国の対応を考えていくという趣旨のご答弁を頂いたところです。
 肝心なことは、これを実際に実行することであり、一連の審議を通じて、我が党としてはそれが担保されたものと判断したところです。
 このことを含め、国家戦略特区が我が党の要望を的確に反映した内容となる道が開かれているものとして、本法案に賛成することとしたものであります。
 本法案はアベノミクスの中に位置づけられているものであり、アベノミクスは、いわゆる「3本の矢」が整合的に組み合わさってこそ、真の持続的な効果を発揮するものであって、これまでの2本の矢では明らかに不足です。
 1本目の金融政策は、日銀による国債の購入で、それに相当する銀行からの日銀当座預金が積み上がっているだけでは、マネーは増えません。それが銀行の信用創造に回るためには実体経済での実需の増大が必要です。
 2本目の財政政策はカンフル剤であり、持続可能な政策ではなく、公共事業から民間需要へとおカネが回っていかなければなりませんが、本年7-9月期のGDPをみても、伸びているのは公共投資と、消費増税前の駆け込み需要で伸びている住宅投資ぐらいであり、本年初めには好調だった個人消費は失速しています。
 今のところ、3本目の矢がないまま、アベノミクスはおカネを積んだだけのものとなっているのではないでしょうか。しかし、日本にはもともと十分なおカネがあり、それは日本が世界ダントツ一位の対外純資産国であり続けていることが示すとおりです。
 大事なことは、積まれたおカネが国内で有効な使い道や魅力的な投資先に回っていくことであり、そのためには、既存の「戦後システム」を大胆に組み替えるくらいの大改革が必要ですが、それは強固な既得権益と正面からぶつかることを免れ得ないものであります。
 政府におかれては、本法案が成立したのちは、日本経済の生産性を底上げしていくための戦略的な道筋を提示し、文字通り骨太の「国家戦略」を示して頂けることを期待しております。そして、安倍総理が、今後の政策運営において、既得権益と戦う断固たる姿勢をお示し頂き、日本経済復活の道筋を力強く打ち出されることを見守っております。
 安倍政権にはできないのであれば、私たち日本維新の会がその役割を担うことを宣言して、党を代表しての討論といたします。
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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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