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松田まなぶの論点 安倍総理への松田まなぶの質疑のポイント-11月20日衆院内閣委員会-

 アベノミクスの決定打として次は何が出てくるのかと国民は期待していたのに、この法案は中身がスカスカ。これが期待された成長戦略の柱?
 これでは、「アベノミクスとはこんなものだったのか」、「結局は既得権益や官僚の決めた枠組みから出られないのが安倍政権だったのか」、そんな印象になる。
こうした懸念を払拭できるようなご答弁を総理にはお願いしたい。

松田まなぶ(松田学)のブログ-5

●アベノミクスと国家戦略特区
 本法案はアベノミクスの中に位置づけられているが、アベノミクスは、異次元の金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の3本の矢が整合的に組み合わさって、これまでにない効果と政府は説明。確かに、2本では足りない。
 1本目の金融政策は「ブタ積み」状態…。日銀の当座預金が積み上がっただけ。それが銀行の市中への貸付にならねば、マネーの増加にはならず。実需が必要。
 2本目の財政政策はカンフル剤。財政的に持続可能でなく、元に戻せば逆に傾聴にマイナス寄与。本年7-9月期のGDPをみても、伸びているのはアベノミクスの第2の矢である公共投資と、消費増税前の駆け込み需要で伸びている住宅投資ぐらい。本年初には好調だった個人消費が失速し、ほとんど伸びていない。
 国内民間需要が実態面で自立的に成長しなければ、「効果」とはいえない。
 3本目の矢がないまま、まだ本物のアベノミクスは始まっていない。
 そして、アベノミクス成長戦略は、既得権益に踏み込む改革よりも、いつの間にか賃金引上げ要請に焦点が当たるように。
これは成長戦略の決定打がなく、アベノミクスがゆきづまっている証拠。
 賃金が広く上がるためには、賃金水準は、生産性、労働分配率、交易条件、あるいは資本収益率などさまざまな要因によって決まるもの。
 生産性の上昇は必要条件。およそ経済政策の「国家戦略」と言うなら、特区の措置がそれと整合的に位置づけられていることが必要条件。

(問1) アベノミクスの決め手は、成長戦略にこそあるが、今国会を成長戦略国会と位置付けた割には、国家戦略特区法案の内容は「国家戦略」の名に値しない。単に、民間事業者などの要望のうち、着手できる項目を並べ、しかも、手続きの円滑化や検討としたものが多く、骨太の「国家戦略」は見えない「御用聞き」法案になっていないか。成長「戦略」なら、総理は、アベノミクス成長戦略の一環として、この特区が日本経済の生産性を底上げして成長力を高めていく戦略的な道筋を、どのように描いているのか。

 アベノミクスはおカネを積んだだけ。もともと日本には十分なおカネがある。世界ダントツ一位の対外純資産国。国内で有効な使い道や魅力的な投資先が不足しているから海外に。大事なのはおカネが回ること。その道筋が見えていない。
 これまで国内でおカネが回ってこなかった、だからデフレになっていた、それが問題だった。課題は、おカネが回る仕組みを構築すること。それが「改革」。

(問2) アベノミクスの肝は成長戦略であり、経済社会の各分野におカネが回る仕組みを構築するためには、行き詰まった「戦後システム」を組み替えるぐらいの「大改革」が問われるが、それは既得権益とぶつかることは免れない。総理は、日本のどのような既得権益と戦う決意をお持ちなのか。

●社会の課題解決とは
 これからの時代において本来の日本の潜在パワーを十全に発揮させて「課題先進国」として世界の様々な課題に対して答を出していく、
そのような「新たな存在、新たな国づくり」をすることが日本の新しいストーリー。それが描かれてこそ、国民も企業も未来に向けた希望のもとにリスクテイクに動き、経済の次なる成長軌道が始動する。
 もし、今回の特区を「国家戦略」と位置付けるなら、そこで実現する「課題解決モデル」が未来の日本の経済社会の姿を示すモデルとならねばならない。

(問3) 社会の課題解決を成長につなげる「国家戦略」なら、具体的にどのような課題を、どのようなプロジェクトを支援することによって解決しようとしているのかを示してほしい。本法案に即していえば、①雇用、②医療、③まちづくり、④農業、のそれぞれについて明らかにされたい。

●必要なのは税制措置
 産業競争力強化、NSC、特定秘密保護など…、「問題や不足は多いが、無いよりはマシ」という法案が今国会では目立つ。法案としての完成度が低い法案が多い。

松田まなぶ(松田学)のブログ-6

(問4) 通常、特区のポイントは税制にあり、税制措置が明らかではない特区の概要を示されても、その是非を国会で審議するには材料不足であり、それは別途検討ということでは、政府の国会に対する対応として不誠実ではないか。せめて、現段階で考えている税制措置の概要を明らかにしてほしい。

 私たち政治家が真に政治主導を実現するためには、この法案本体の審議で税制を議論し、決定していくことができなければならないのではないか。
 トップダウンで実効ある政策を実現できるかどうかに、総理のリーダーシップの鼎の軽重が問われている。
 その試金石となるのが、地方税減免に係る国税の措置。地方が自ら汗を流してイニシアチブをとっても、国税がその効果を減殺するように働くというのでは、「地方の自立」、経済再生を唱える安倍政権の立場とも矛盾するし、常識から考えてもいかにもおかしい。
 税制上の瑕疵ともいえるもので「是正」すべきもの。
 恐らく、与党や政府内にも賛成者は多数だろう。これは政策論として、ほとんどの人が反対しないはず。
 なのに、年末の税制改正プロセスを経ないと審議もできないと言う。税制は国民の代表である国会が決めるもの。ここは総理がイニシアチブをとって官僚主導を超えることをすべき事項ではないか。

(問5) 国家戦略特区において、地方公共団体が特定事業を実施する実施主体に対して地方税を減免する場合その他の地方税の特例がある場合には、その実施主体に対する法人税の減免その他の国税の課税の特例措置を講じるべきではないか。

●規制改革の基本的な考え方
 国民に幅広い選択肢を与え、自立的な選択を通じて社会的に望ましい状態を実現するのがこれからの経済政策のあり方。基本は、自立と選択の自由。保守の思想の根本。大事なのは、国民に幅広い選択肢を与えること。
 日本は成熟社会でありストック型経済。金融資産、技術やノウハウなどを国民が十分に蓄積した大国。特定地域に外国の力を導入して活用するパターンの経済戦略は開発途上国型でもあり、現在のような高度な発展段階にある日本の採るべき王道ではない。

(問6) 特定地域の特定事業者や外資だけでなく、個人やNPOなども含め、草の根レベルで全国のがんばる国民に選択のチャンスを遍く平等に与えていくことが、日本型の成長戦略ではないか。規制改革のあり方について、総理の基本的な理念を問う。

 規制は本来、原則自由・例外規制のポジティブリスト方式の事後チェック型であるべき。原則禁止・例外自由のネガティブリスト方式は、例外の適用を巡って「官」の介入権限や権益を強化。
 特に、今回の法案は経済政策の手法としては特定の事業者を国と自治体が協働してサポートしていくという、これまでにない画期的な手法。しかし、これでは民間に対する国家のパターナリズムにもなりかねず、国家介入の強化という懸念もある。

(問7)  国家戦略特区は特定の民間事業に対して国が事実上、コンサルをするようなものであり、産業競争力強化法案と相まって、規制緩和に名を借りた新たな国家介入強化の手法となる懸念はないか。

 日本の本来のパワーを開花させるためには、全体的なシステム再設計が必要になっている。私たち維新の会は、そこに「統治機構の改革」を位置づけており、道州制はそのメニューの一つ。
 しかし、実際にこうした「器」の再設計が成り立つためには、例えば日本の各地に自立的な広域経済圏が形成されていく「地方の成長戦略」が見えていなければ道州制が実現するに必要なエコノミクスが成り立たない。
 そうした地方経済戦略として、大阪府・大阪市は、岩盤規制に風穴を開け、民によるイノベーションを創出するため、国家戦略特区提案を打ち出している。
 それは、御堂筋エリアを対象にした「チャレンジ特区」、最先端の医療サービスを提供する「国際メディカル特区」、先進医療の保険診療併用特区、人が集積し、文化芸術に溢れた楽しい街を実現する「大阪高度集密都市特区」。
 それを実現し、大阪都構想を確かなものとすることが、日本の将来の姿のモデルになる。その意味で大阪はまさに、「国家戦略」地域。
 本法案のメニューはまだあまりに不十分。
 ただ、特区を巡る維新の会や大阪からの提案を安倍政権が真摯に受け止め、国と地方との協働で日本の改革を先導するモデルができることが大事である。
 そのことを通じて、今後、特区の内容がバージョンアップしていくことを強く期待し、お約束いただいて、質問を終える。
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松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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