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松田まなぶ 内閣委員会で沖縄に出張

 衆院内閣委員会が超党派で、10月8日~9日、沖縄視察の出張をしました。参加者は後記のとおりです。私は、日本維新の会の沖縄PTの座長として、本年もすでに4月と6月の2回にわたり、沖縄を訪問、私たち維新のメッセージとして「特別な歴史や住民感情を持つ沖縄をまず謙虚に学び、沖縄地域の自立的発展に向けて、沖縄の人々とともに沖縄の未来を考える」ということを発信してまいりました。たまたま私が属する内閣委員会も沖縄振興を所掌しており、理事として今回の視察にお呼びがかかったものです。
 今回訪れてみて、沖縄の自立的発展の道は、健康創造、IT、海洋資源、国際物流の4つの分野が握っていると思うに至りました。
松田まなぶ(松田学)のブログ-1
「衆院内閣委員会沖縄視察団の議員一行です。」

 現地では、まず内閣府沖縄総合事務局を訪れ、局長以下幹部から沖縄振興に向けた取り組みについてひと通り、ブリーフィングを受けましたが、私が最も関心をもったのは、「沖縄ウェルネス産業の振興」というテーマでした。
松田まなぶ(松田学)のブログ-2
「沖縄総合事務職にて、ウェルネス産業立地の上で沖縄の地政学的強みを活かす視点が重要。」

 具体的には、人間ドックやリハビリテーションなどを核としたヘルスツーリズムの提供であり、エステティックやスパなども含め、健康というバリューの提供で沖縄にヒトを呼び込む道です。その上で、沖縄には、医療関係者が多いということに加え、亜熱帯の温暖な気候、重厚長大の産業が育たたずにサービス産業で生きてきた沖縄の人々の「おもてなし」の心、独特の風土と癒しの空間などのメリットがあります。
 しかし、最も重視すべき強みは、やはり、東アジアの主要各地とつながるハブとしての地政学的なメリットでしょう。そもそも沖縄に米軍基地があるのも、この利点を活かそうとしているからです。沖縄の自立的発展を妨げてきた基地の存在理由を今度は逆手にとって、沖縄経済の自立的発展につなげていくことが、この地域の未来に向けた戦略の通奏低音になるべきだろうと思います。その一つのメニューとして、アジアの富裕層が健康関連サービスを求めて東アジアの中心的位置にある沖縄を訪れ、滞在することを狙うわけです。
 これからは、医療も従来のCure(治療)からCare(ケア)へという流れにあります。マイナンバー制と接続する形で地域独自の個人情報システムを構築する特区とすれば、医療から健康関連サービス全体へとシームレスにつながるトータルな健康創造の拠点として、東アジアのメッカとなることも夢ではないかもしれません。

 次に私たちは、うるま市に向かい、経済特区を視察しましたが、特に重点を置いたのが「おきなわSmart Hub」構想のもと、情報通信関連産業の立地を呼び込んでいる「沖縄津梁パーク」でした。津梁(しんりょう)とは、アジアとの架け橋を意味しており、国内外のIT産業の一大拠点の形成をめざすビッグプロジェクトとされています。すでに多くのIT企業が立地していますが、沖縄は全国の中でも人口増加地域であり、年少人口比率全国一の豊富な若年労働力を教育訓練しながら活用しています。大都市圏から遠隔にあり、同時被災リスクが小さいことから、バックアップ拠点としても注目されています。
松田まなぶ(松田学)のブログ-3
「沖縄IT津梁パーク、ここでは例えばメガバンクなどからもシステム開発を受注。」

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「おきなわSmart Hub構想で、沖縄をアジアとの架け橋に。」

 PCに向き合ってソフト開発などに熱心に取り組む若者たちの姿を拝見しましたが、例えば、メガバンクからの受注で金融関連システムを開発、提供するといったことが行われています。今後は国内とアジアをにらんだクラウドコンピューティングの拠点形成をめざそうとしています。
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「ITで沖縄の若者たちに雇用を創出。」

 沖縄の特区といえば、国際物流拠点がすぐに思い浮かびますが、基地問題も絡んでいるのか、港湾整備が必ずしも進展していないといった事情も踏まえれば、当面はむしろ、ITが有望かもしれません。もう一つは金融特区ですが、これは金融単独では進まないのが通例で、情報通信産業に対して講じられている税制などの優遇措置を活用する形で金融を呼び込む道が考えられるようです。

 宿泊は北谷町の海岸リゾートにあるホテルでしたが、夕食は平井委員長のご友人の照屋林賢(てるやりんけん)さんとともに、近くの同氏の拠点で沖縄料理を堪能させていただきました。同氏は、沖縄音楽をベースにしたオリジナルで新しい音楽づくりをめざし、沖縄固有のリズムとメロディにこだわりながらも新しい発想を取り入れながら、「りんけんサウンド」の創造を続けている方です。沖縄文化の話題に花が咲きましたが、沖縄音楽が東アジアでも独自の地位を占めていることについて、認識を新たにいたしました。
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「沖縄発の文化を世界に、照屋林賢さんと。」

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「りんけんさんの音楽スタジオにて。」

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「沖縄はサンセットが美しい、りんけんさんと、平井委員長。」

 ちなみに、豚足を揚げた料理など、泡盛とともに食した沖縄料理はいずれも美味で、特に今回の出張では、大好きな沖縄そばを何食もいただくことになりました。
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「沖縄に来るたびに、沖縄そばを楽しみにしております。」

 翌9日は、朝から国頭郡恩納村に位置する沖縄科学技術大学院大学(OIST)を訪れ、ご案内いただきました。美しい沖縄の海を見下ろす山中に立地しており、最新設備を装備した機能的な建物それ自体が一見の価値ありです。
松田まなぶ(松田学)のブログ-10
「沖縄科学技術大学院大学を訪問。」

 この大学院大学は、2001年に当時の尾身幸次・内閣府特命担当大臣(沖縄・北方対策、科学技術政策担当)が提唱した構想に基づき、立法措置により政府主導で準備が進められ、2011年に設立、昨年の9月に開学(学生受入れ)されました。国際的に卓越した科学技術に関する教育や研究を実施することにより、沖縄の自立的発展と、世界の科学技術の向上に寄与することを目的としています。
 5年一貫制の博士課程が置かれ、教員と学生の半数以上を外国人とし、教育と研究は全て英語で行っています。OISTの教育研究活動は学際的で先端的なものです。これまでに、神経科学、分子・細胞・発生生物学、数学・計算科学、環境・生態学、物理学・化学の5分野に大別される研究が行われてきました。
松田まなぶ(松田学)のブログ-11
「ホールも最新施設、椅子も機能的な配置で座り心地が抜群。」

 私が特に関心をもったのは、まさに沖縄の特性である海洋をテーマにした研究です。その一つが潮流発電で、これについてはすでに、「潮流発電@沖縄」にまとめてあります。
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「渡り廊下には科学技術の成果が展示、潮流発電装置の模型を過ぎると、このようなものが。」

 もう一つは、海洋生物のゲノム(遺伝子情報)解読です。世界的にサンゴの死滅につながる白化現象が深刻ですが、サンゴのゲノムとサンゴと共生する褐虫藻のゲノムの解読に世界で初めて成功し、その成果はサンゴの保護だけでなく様々な分野への活用が期待されているなど、同大学はすでに国際的に高い注目を受けています。
 大事なのは、この高い研究水準の大学が沖縄の地元に密着しつつ、沖縄の自立的発展に寄与することをミッションとしていることです。素晴らしい自然の中で、少数精鋭の研究者や学生が研究や国際交流などに没頭できる環境には、うらやましいものがありました。
松田まなぶ(松田学)のブログ-13
「本学の研究はすでに世界的に注目されています、平井委員長、若井理事と。」

 最後に私たちが訪れたのは、那覇空港にある「ANA沖縄貨物ハブ」でした。これはまさに沖縄の東アジアにおける地政学的なメリットを最大限に活かした国際物流の拠点であり、24時間体制で、羽田であれ成田であれ、あるいは、上海や香港であれ、台北やソウル、バンコクであれ、深夜24時~25時に積み込んだ貨物は翌朝6時~7時には到着するという運航スケジュールで、高速の物流を実現しています。
松田まなぶ(松田学)のブログ-14
「那覇空港の国際物流ターミナルを視察。」

 例えば日本で採れた特産の生ものを、クール宅急便で、翌日午前中には中国の家庭に届けるということが可能であり、これは様々な商機にもつながっています。日本国内⇔アジアの物流もあれば、アジア⇔アジアの物流もあるという具合で、まさにハブ。物流ハブでアジアでは出遅れた日本にとって、沖縄はチャンスを提供しています。税関も24時間体制で駐機場に隣接したANA上屋に出かけ、仕分け~輸出入通関~積み替え~搭載が数時間で終了しています。
 こうした貨物ハブは、中継地としての機能に加え、国内やアジア各国から集まる食料品や部品などを原材料とする加工産業の立地につながりますし、製造業の商品ストックセンターなど、物流から派生する事業をもたらします。また、沖縄の農産物や部品の加工・輸出など、新産業の創造にもつながると期待されています。
松田まなぶ(松田学)のブログ-15
「沖縄の出張も盛り沢山でした。」

 以上、健康創造、IT、海洋資源、国際物流の4つを見ましたが、これらは、日本の中長期的潮流と自らの強さを踏まえて沖縄の将来像を戦略的に考えていく上で、「選択と集中」の対象としてプライオリティーの高い分野だと感じました。これからも、沖縄の未来について考えていきたいと思います。

 なお、今回の出張には、維新の私のほか、下記の内閣委員会所属の衆議院議員が参加しました。
平井たくや委員長(自民)、若井康彦理事(民主)、濱地雅一委員(公明)、椎名毅委員(みんな)、赤嶺政賢委員(共産)、村上史好委員(生活)。但し、当時の肩書。
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松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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