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松田まなぶ もう一度、南足柄市で農業のテレビ取材

 神奈川県南足柄市にでかけて、日本農業のチャレンジを再びテレビ取材しました。8月に取材に訪れて、すでに3本の番組として放映させていただいた同市の農業について、取材先の古屋富雄さんから、もっと収録すべきところがあると、お申し出があったからです。そこで、福島の原発を視察した翌日の10月2日、テレビ神奈川の『松田まなぶのカナガワ未来レポート』の追加収録に向かいました。

 同市は都会のサラリーマンなど普通の市民を農業に呼びこんで、最初は市民農園、そして市民型農業へ、さらには新規就農へとステップアップすることで、農業の担い手を確保する画期的な仕組みを営んでいます。『兼農サラリーマン』『イ農ベーション』といったコンセプトを打ち出している、同市の農業委員会の元事務局長の古屋さんから届けられた著書を読んで、いても立ってもいられずに取材にでかけたのが、そもそものきっかけでした。

 古屋さんと実際に議論をさせていただき、元サラリーマンの農業チャレンジャーたちを取材して、意気投合、これをモデルとして全国に普及させることに微力を尽くしたいと私も決意していた次第です。いま、就業者の高齢化の中で、今後の担い手不足が予想され、このままでは崩壊に向かうことが懸念されているのが日本の農業です。ここにヒトを呼び込む仕組みこそが新たな農業再生の道。新たな担い手の参入で、耕作放棄地を農地として生き返らせます。耕作放棄地の存在は、土地を荒れさせ、雑草や害虫などの問題も起こすなど、それ自体が周囲の農業にマイナスです。地元の従来の農家との間でも、Win-Winの関係が築けるはずです。

 新規参入のサポートにこそ、農協や農業委員会の新たな役割を組み立てる。松田まなぶが唱える「組み立てる改革」の農業編です。
 前回の取材については「南足柄の農業tvkで番組取材」にまとめてあります。こちらをご覧ください。
 南足柄市がどのようなチャレンジをしているかは、前回の取材を踏まえて「農業へのチャレンジinカナガワ」にまとめてあります。こちらをご覧ください。

 今回の追加収録では、まず、リタイア後に南足柄市で農業を生き甲斐にされている市民農業者の方を取材しました。社会福祉法人の役員をされてきた高野貞治さん(64歳)です。いわゆる中山間地の一画で日本ミツバチの飼育や、野菜作りなどをされています。隣地は荒れた耕作放棄地で、それとの違いはすぐに分かります。山の斜面の土地をよく見ると、きめ細かく手入れされた一画一画に、それぞれ様々な野菜類などが育てられています。
松田まなぶ(松田学)のブログ-「市民農業者の高野さんと」
「市民農業者の高野さんと」

松田まなぶ(松田学)のブログ-「高野さんの農園に入りました」
「高野さんの農園に入りました」

松田まなぶ(松田学)のブログ-「この中にミツバチが」
「この中にミツバチが」

松田まなぶ(松田学)のブログ-「日本ミツバチは刺さない
「日本ミツバチは刺さないから大丈夫」

 養蜂の巣箱を覗くと、数えきれないミツバチコスモスがいます。ここから採れる蜂蜜は、まだ流通ルートに乗せられるまでには至っていませんが、いずれ地元で認知される日が来ることを楽しみにしているそうです。中山間地には、それにふさわしい農業のやり方があり、やりようによっては十分に成り立っていける、決してラクではないが、リタイアして家でブラブラしているよりもよほど楽しい、自分がここで「農」を営んでいることが周囲の環境にも良い影響を与えているはずであり、地元の人に喜んでもらえることを期待している…、高野さんはそのようにおっしゃっていました。
松田まなぶ(松田学)のブログ-「中山間農業、急斜面のようですが
「中山間農業、急斜面のようですが、すぐに慣れました」

松田まなぶ(松田学)のブログ-「高野さんの農場、あちこちに小さな畑が」
「高野さんの農場、あちこちに小さな畑が」

松田まなぶ(松田学)のブログ-「この中にはたくさんの蜂が
「この中にはたくさんの蜂が、開けますよ」

松田まなぶ(松田学)のブログ-「家族も、農業でも
「家族も、農業でもしててくれたほうがと…」

 その後、場所を移して、とうもろこし畑に臨む農地の一画で、青空のもと、地元の農業関係者の方々と「ミニ座談会」をいたしました。パネリスト?は、専業農家の立場で農協の理事を20年以上、勤められた生沼仁さん(72歳)、南足柄市農業委員会会長の石川栄さん(68歳)、そして古屋富雄さんの3人で、司会は私が務めました。
松田まなぶ(松田学)のブログ-「青空座談会はこのような
「青空座談会はこのような場所で」

松田まなぶ(松田学)のブログ-「左から、古屋富雄さん、農協
「左から、古屋富雄さん、農協理事をしてこられた生沼仁さん、農業委員会会長の石川栄さん」

 私が意図したわけではありませんでしたが、話題はいきなりTPP普通なら、交渉で聖域は守れるのか?、日本の農業は大変なことになる、という言葉が出てきそうなところですが、そうではありません。TPPなんて乗り越えられるよ、そんなこと恐れていたら農業はダメになる…という頼もしい意外な言葉が、農協幹部の生沼さんの口から出てきました。石川さんは、新しい担い手を呼び込むことの重要性を強調。私から、そういう人たちや新規参入企業などの営農を指導し、サポートすること、こうして地域全体の農業を「経営する」ことが、これからの農協の役割では?と問いかけると、そのために、農協だけでなく、行政当局も含め、地域ぐるみで取り組んでいく体制づくりが必要とのお答え。
松田まなぶ(松田学)のブログ-「農業には新規参入し
「農業には新規参入してもらわなくては」

 松田まなぶ(松田学)のブログ-「TPPを恐れているようじゃ、
「TPPを恐れているようじゃ、ダメだよ」

 普通は守旧派の代表とされているのが農協や農業委員会ですが、その指導的立場の方々がこのような前向きの意識を持っているのは予想外でした。やはり、『壊す改革』ではヒトは動きません。人間誰しも、自ら背負ってきた人生があり、それを否定されれば目前の『小さな幸せ』(既得権益)にしがみつくだけだと思います。新たな『大きな幸せ』を描くことで、当事者が納得して前に進んでこそ、本当の改革が実現する。

 『農協を潰す』と言っても答は出ません。農協が新たな道と存在理由を見出すような『組み立てる改革』を…。今回、農業に携わる皆さんと議論して、日本農業に大きな希望を見出しました。
 TPPを『怖い、怖い』と逃げ惑っていても、何も生まれません。やる気のある人は、課題にきちんと向き合っています。本当にやる気のある人には、必ず道が拓けます。日本人なら、できます。そんな元気をいただきました。
松田まなぶ(松田学)のブログ-「意見がよく合いました。」
「意見がよく合いました。」

 今回の取材の最後に、古屋さんから開放型の農場をご案内いただきました。そして、イギリスでは、農業を営むことは国民の『権利』とされていること(逆に、都市に出て産業に従事することは義務?)、農家は都会からの来訪者に自由に農道を散策していただくよう自らの農地を開放していることなど、興味深いお話を聞かせていただきました。都市と農村との交流の中で、農業従事者も楽しく刺激を受け、そこから「イ農ベーション」が起こっていく…。

 新しい農業を考える視点が満載の今回の取材、今月中に放映予定です。(テレビ神奈川放映「松田まなぶのカナガワ未来レポート」、毎週水曜日の午前9時~9時半の「イイコト! 11510」~ハートフルナビゲーションの中のコーナーの番組です。
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松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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