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松田まなぶの論点 農業へのチャレンジinカナガワ

【農地制度と農業改革】
〇週末ファーマーの壁は農地法の規制
*農地について権利の設定・移転をする場合には、農業委員会の許可が必要(農地法3条1項)。農地面積が合計50a(北海道では2ha)に達しない場合は、許可を受けられない(同3条2項5号)
  この規制の趣旨は、農業を専門的に行う経営に農地を集約させて大規模農業化を図ろうという考え方。週末ファーマーの誕生は想定外だった。
…このままでは彼らは「ヤミ小作」と言われかねない。
→2009年の農地法改正で農業委員会が下限面積を変更することが可能となり、南足柄市では市民が参入しやすい制度に改められたが、全国的にはレアケース。
⇒これが広がれば、日本の農業には新しい風景。農業の新しいあり方へ。
〇成長戦略でも農業は大きな焦点
  基本は農業への参入障壁を下げること。
・2009年のこの農地法改正は
①個人を農業へ参入しやすくする…地域の実情に応じて農地の下限面積を設定可能に、規制緩和。
②株式会社::農地を借り受けられるようにする。貸借での参入規制を緩和した。但し、役員のうち1人は農業に常時従事する必要。適正に農地を活用していないときは契約を解除、地域との協働の義務などの制限は課した。
③農業生産法:要件を緩和。農地を所有して参入することは一定の要件では農業生産法人として可能だが、農業関係者が総議決権の4分の3以上を占めること、役員の過半が農業の常時従業者であること、譲渡制限のある株式会社や農事組合法人や合名・合資・合同会社であることなど、要件は厳しい。食品関連企業等からの出資は1/2まで可能になっただけ。
 ⇒法人の参入についてはまだまだ規制が強く、成長戦略の課題になっている。

【南足柄市の独自の農業参入システム】
・南足柄市でも農家の6割を65歳以上の世帯が占めている。遊休農地が増大。害虫や雑草が発生して周辺の農地に広がる。放置しておくと耕作に適さない土地になってしまう。
⇒農業の担い手を確保し、遊休農地を減らすため、独自の参入基準を策定。これは農業を維持していくことが困難な農家から農地を提供してもらい、農業を始めたい人に貸し出す仕組み。
①南足柄市新規就農基準:本格的な農業経営を目指す人のための制度。農地の利用権を設定(農業基盤強化促進法)。所有権は移転せず。農地を貸しやすくなる。賃貸借契約。
②市民農業者制度:自立までは目指さないが販売はしてみたい人、定年後に農業を始めたい人。農地のすべてを常時、効率よく耕作することが条件。①へのステップアップが可能。
③市民農園の利用:一区画を借りて気軽に農業を体験。②へのステップアップも可能。

【これからの論点】
●実は、TPPは、多様な農業を考える契機にもなるものです。農業保護政策の手段として、開発途上国型の国境措置の手法は、もう限界です。特に日本では、778%もの高関税率と減反という手法で保護してきたコメが、旧来型手法の典型で、これは高いコメを買わせて消費者に莫大な負担をさせている一方、コメの値段が高いことで潤う農協の既得権益を保護するものでした。結果として、決して農業を保護することにはならず、逆に、日本の農業を衰退させてきました。TPPは、日本の農業政策を、欧米などでは主流の直接支払(財政方式)へと転換する契機です。

●この際に重要なのが、古屋富雄氏が提案する「農業マイスター制度」だと思います。上記のような財政方式に転換すれば、補助金などの支給要件の設定の仕方の工夫次第で、さまざまな政策目的を達することが可能になります。ドイツなどでは、環境保護に資する農業を営む農家に手厚い補助金を出しています。日本でも今後、農業の持続可能性に向けた改革として、担い手の参入を促進し、プロの営農へと育てるべく、農業にマイスター制度を導入して、一定の資格要件を満たした農業者に補助金を集中することとすれば、真にやる気のあるプロの営農が農業を支えていくことになります。

●これからの農協や農業委員会の役割をどのように考えるか。単に、農協を守旧勢力として叩いて「解体」を叫ぶだけでは改革は進みません。将来の「大きな幸せ」を描かなければ、目の前の「小さな幸せ」にしがみつかざるを得ないのが、人間というものです。この点を無視した、これまでの「壊す改革」こそが、日本の本当の改革を妨げてきた大きな要因だと思います。これからは、新規参入を促進し、農業への参入者をプロの営農家へと育て、農業を「マネージメント」の対象としていくのが、農協や農業委員会の役割なのではないでしょうか。既存の零細農家のサポートや保護ではなく、新しい役割への転換が必要です。
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コメント

1. コメントさせてください^^

こんにちは!ブログ読ませていただきました!色んな人のブログをまわっていたらたどり着きました!またコメントさせて頂きますので、更新ファイトです!

2. コメントさせてください^^

どうも!初めてコメントします!色んな人のブログをまわっていたらたどり着きました!お互いに更新がんばりましょうね!次も楽しみにしています!

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Author:matsuda-manabu
松田政策研究所は、松田学を中心とした講師・研究員が、これからの日本の未来に関する国家像や社会の在り様について総合的な調査・研究 を行い、夢を持てる国づくりの基盤を創り、社会と国家の発展に寄与するのが目的です。

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